持続可能な東アジアを構築する市民性を育成するために、地理的探究に基づく学習を用いた教材を開発することを目的とする本研究の平成25年度の成果は、以下の2点である。 1. 前年度(平成24年度)の研究成果である韓国の中学校教科書におけるESDの内容、香港の中学校教科書における自然災害内容の分析結果をまとめ、論文として発表した。さらに、日本の中学校社会科地理的分野における公民的資質とESDの関係をまとめ、国際学会で口頭発表を行い、世界の地理教育関係者らからの意見を得ることができた。 2. 旭川市および北海道を事例地域として環境問題・自然災害に関する教材を開発した。具体的な教材内容は、北海道のエネルギー問題と地域開発、旭川の水害と永山新川である。これらの教材は、学校現場での活用するために、まず大学生を対象として模擬授業を行い、改善を図った。 以上のことから、本研究はおおむね計画通りで進んだといえる。しかし、課題も残っている。日本と韓国の中学校で授業実践を行うために協力校の教員との協議を行ったものの、実際に授業するまでには至らなかった。これは、該当学校のカリキュラムとの関係で本年度中には授業実施が難しくなったことや、韓国での授業実施のために内容修正や翻訳などに時間がかかったことが原因である。今後も授業実践を行うために協力校の教員との協議を続けることにしたので、近い内に実践することが期待できる。
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