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2012 年度 実施状況報告書

国際理解教育の地域展開に関する理論的・実践的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24730720
研究種目

若手研究(B)

研究機関弘前大学

研究代表者

小瑶 史朗  弘前大学, 教育学部, 講師 (50574331)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際理解教育 / 社会科 / 地域
研究概要

平成24年度は、地域に根ざした国際理解教育の理論構築作業を進める一方、地域素材を活用した具体的な教材開発に取り組んだ。
前者については、「地域」ないし「地方」の視座から国際理解教育を構想する今日的意義を明確化するため、戦後日本における国際理解教育の歴史的展開の分析・整理に取り組んだ。その成果の一部を、小瑶史朗「1960~70年代の国際理解教育と南北問題」(開発教育協議会編『開発教育』第59号、2012年)として発表した。そこでは、日本の高度経済成長に伴い、国際理解教育の中心的課題が諸外国への国際協力にシフトする一方、1950年代に萌芽した日本社会の「内なる課題」に視点を置いた国際理解教育の構想が退潮したことを明らかにした。この歴史展開に加え、1980年代以降の日本の社会状況及び国際的位置を加味しながら、「地域」ないし「地方」に立脚して国際理解教育を構想することの今日的意味を、さらに理論的に探究する予定である。
一方で、北東北地域の素材を活用した国際理解教育の教材開発にも取り組んだ。その際、(1)自然環境、(2)産業、(3)歴史・文化、(4)地域課題というテーマを便宜的・仮説的に設定した。そのうえで、(3)歴史・文化に関わる学習素材として、中世北方世界における和人・アイヌ民族の交易を題材にした高校・日本史の教材開発に取り組んだ。その際、北海道・道南地域にてフィールドワークを実施し、各種資料を収集するとともに、日本史授業の開発に取り組んだ。それに基づき、青森県内の公立高校の協力を経て、研究授業を実施した。当授業では、北海道上ノ国町・勝山館遺跡の発掘成果をもとに、中世期の和人とアイヌ民族の関係を生徒たちに考えさせる中で、東北地域への「辺境」イメージや「哀れで弱い民族」としてのアイヌ民族像を問い直すことを企図した。本授業の成果は、平成25年度中に論文として発表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、青森県ないし北東北の地域素材を活用した国際理解教育の教材開発を目指すものであるが、当初、教材開発は2~3年目の課題としていた。しかし、青森県内の学校教育関係者から研究協力を得ることができ、1年目に実施することが可能となった。

今後の研究の推進方策

第2年次は、歴史・文化以外のテーマで教材開発を目指していく。その際、他地域の事例を収集しつつ、その北東北地域への応用可能性を探っていく。現在のところ、「自然環境」にかかわる学習素材として「雪」、「産業」に関わる素材として「リンゴとその輸出」、「地域課題」に関わる学習素材として「三沢米軍基地」ないし「原発・エネルギー問題」の教材開発を進める予定である。
この具体的な教材開発と並行して、地域に立脚した国際理解教育の理論構築作業をさらに進めていく。グローバリゼーションのもとで「地方」ないし北東北地域がいかなる変容を強いられているかを探りつつ、これまでの都市圏を中心とした国際理解教育の枠組みのどこを、どのように再構築すればよいかを、理論的に検討していく。

次年度の研究費の使用計画

2年次に当たる平成25年度は、主として、(1)先行する教育事例を調査・収集のための旅費、(2)理論構築作業に際しての文献費、(3)教材開発のためのフィールドワーク費の3点に研究費を当てていく。
これら一連の研究作業に関わって、協力者への謝金や研究会費、学会参加費、資料複写費などを予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 1960-70年代の国際理解教育と南北問題2012

    • 著者名/発表者名
      小瑶史朗
    • 雑誌名

      開発教育

      巻: 59 ページ: 126-136

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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