研究実績の概要 |
2008~2013年度「アフリカ地域算数数学授業評価セミナー」に参加した算数数学科教育関係者79名を対象に,算数数学の学習に関する信念の実態を顕在化させ,その実際と顕在化手法そのものについて考察した.参加者の信念の実態の分析にあたっては,集団としての信念の実態の傾向を顕在化させるために,数値部分のデータを用いて,K平均法によるクラスター分析を行い各クラスターの特徴づけを行った.その上で,記述部分を分析することで,各クラスターに所属する参加者の信念体系の様相を具体的に顕在化させた. 分析の結果、5つの主要なタイプに分かれることが明らかとなった。(タイプA:練習知識重視、タイプB:練習知識共存(a論理重視, b探求重視, c論理探求並列)、タイプC:論理重視、タイプD:探求重視、タイプE:論理探求並列)本質問紙を用いた数値部分のクラスター分析により「練習知識」「論理」「探求」それぞれへの配分のバランスに応じて,信念の強度の様相を数値として顕在化させやすいことが明らかとなった.そして,クラスター平均の特徴に応じてタイプ分けをすることで,その集団の信念の様相をある程度特徴づけることも可能となった.さらに,研修前後でのタイプ移動を見ることで,教員研修の成果参加者の変容という視点で数値表現することも可能といえる.記述部分の分析結果からは,数値部分のデータから推測した信念の強度とともに,信念間の連結性を顕在化することができることが明らかとなった.逆に,抽象的な記述であった場合でも,数値データと対比させることにより,その要素への配点から,無意識的な信念の強度を推測できる.
|