本研究は、戦前期日本の幼稚園における音楽活動を理念・教材・教育方法・カリキュラム・実践の側面から総合的に検討することを通して、その成果と課題を明らかにすることを目的とした。具体的には、(1)松本幼稚園(長野)、及び愛珠幼稚園(大阪)における音楽活動の実態、(2)保育者による音楽活動研究、(3)小学校音楽教育関係者による幼児期の音楽活動への関与の実態、(4) 幼児向け唱歌教材、及び保育における器楽活動の変遷について明らかにした。これら成果は、保育者や音楽教育研究者が、乳幼児の音楽活動についての、自らの歴史的な立ち位置を確認し、批判的に省察する際の一助になると考える。
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