本研究の目的は「質の認識」を育成する日本伝統音楽の授業モデルを開発し、誰でも実践可能な〈伝統音楽教育のための授業パッケージ〉を制作することであった。 第1年次は日本伝統音楽の生成過程に関する基礎的研究を重点的に行い、また伝統音楽に関する公開ワークショップを開催し、授業モデルの開発への示唆を得た。第2年次は授業パッケージに向けた教材開発として、「八木節」「わらべうた」「ねぶた囃子」の授業を構想、実践し、実践分析を行った。また韓国における伝統音楽教育について、釜山教育大学および附属小学校を訪問し、伝統音楽教育に関する授業観察およびインタビューを行った。 第3年次の本年度は、以上の研究成果を踏まえ、伝統音楽の授業開発を行うための視点を導出し、プログラム開発のための手順を整理した。それらについて学会発表し、大学紀要に理論と実践についてまとめたと同時に、3月には「子どもが主体的に活動する日本伝統音楽の授業プログラム」と題したブックレットを発行することができた。今後はこのブックレットを研修会の機会などを利用して、京都市内、京都府内など、公立小学校および公立中学校の音楽担当教員に配布し、伝統音楽教育の普及に努めていく予定である。
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