研究課題/領域番号 |
24730735
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
真野 祐輔 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (10585433)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 数学教育 / 概念変容 / 研究方法論 |
研究概要 |
平成24年度の研究活動は,研究テーマに関わる国内外の基礎文献の収集・整理を行い,文献研究に基づく理論的検討を中心に進めた。それは,数学教育に固有な概念変容研究の理論的・方法論的枠組みについて検討するためであった。平成24年度に収集した文献のうち主なものは,「Second International Handbook of Mathematics Education」などの数学教育関係の国際研究ハンドブックである。 本研究では,数学教育における研究方法論としての教授実験に注目し,小学校第6学年で実施した授業分析を通して,概念変容に関わる理論的・方法論的課題を明確にすることを試みた。理論的には,スファードの具象化理論の今日的動向を受けて,数学的ディスコース論を概念変容研究に援用する可能性について検討した。これまでの概念変容研究は,認知論的アプローチを主としてきたが,本研究では,記号論的視座に注目し,認知論的視座と記号論的視座の相補性について考察した。実証的には,数学的ディスコースの発達という視座から概念変容の理論的モデルを設定し,実際の教室における学習過程を分析することができた。 そうした理論的・実証的研究の成果は,国内外の数学教育関係の学会等で報告している。とくに,2012年7月に台湾・台北で開催された国際数学教育心理学会(PME36)では,海外の研究者から本研究に関わる貴重な情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進めるのに必要な主要文献を計画的に収集・整理し,文献研究に基づく理論的検討を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成25年度)は,本科研の最終年度となるので,理論的検討だけでなく,実際の教室をベースとした実証的研究を進めていきたい。その際,平成24年度の文献研究で検討した理論的枠組みを用いて,小学校算数だけでなく中等教育段階の数学学習をターゲットにし,理論的・方法論的枠組みの精緻化を図りたい。またそうした研究の成果を国内外の学会等で報告し,広く批評を仰ぎたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,前年度で収集・整理した物品を使用して研究を進めるため,物品費は必要最小限にとどめることにする。次年度は,本科研の最終年度となるので,積極的に国内外の学会等に参加し研究成果を報告していく。平成25年度は,ドイツで開催される国際数学教育心理学会(PME37)での研究発表を予定しているので,そのための旅費を充当する必要がある。そのため直接経費に占める物品費と旅費の比率は,1:4程度を計画している。
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