研究課題/領域番号 |
24730737
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
近藤 裕 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (80551035)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 算数教育 / 数学教育 / 内容 / 能力 / 情意 / 見いだす / 説明する |
研究概要 |
本研究の目的は、数学の授業において、子どもたちに、数学の内容理解、数学の能力形成、数学に対する情意面の向上を調和的に図るためには、子どもが見いだし説明する過程を重視することが有効であろうと考える立場から、そのための教材を開発し、実践を通した検証によって、その有効性を明らかにすることである。研究計画に従い、今年度は以下の点について研究を進めた。 1.子どもが見いだし説明することの意義について、数学の内容理解および能力形成、数学に対する情意面の向上の観点から、文献および先行研究をもとに、基礎的考察を行った。 2.公立小学校教員と連携して、小学2年「はこの形」の単元に関する教材を開発し、実験授業を計画・実施し、データの収集とその分析・考察を行った。主として、子どもが見いだし説明する過程を重視した授業の構成に関する枠組みについて検討した。 3.小学3年「大きな数」の単元に関する教材を開発し、実験授業を計画・実施し、データの収集とその分析・考察を行った。主として、内容領域の特徴の違い(例えば、図形領域と数と計算領域の特徴の違い)が、子どもが見いだしたり説明したりする上で、どのように影響するかを検討した。 4.小学3年「ぼうグラフ」の単元に関する教材を開発し、実験授業を計画・実施し、データの収集とその分析・考察を行った。主として、子どもが見いだす様相(個人として、また、学級全体として何をどれくらい見いだすことができるのか)に焦点を当てて、質的・量的データをもとに検討した。 5.国内において、研究の途中経過について学会発表および論文発表を行った。また、国内および国際学会において、各種の情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、「平成24年度は、研究への協力体制を整えつつ、研究目的1(子どもが見いだし説明することの意義を、数学学習への意欲と数学の内容理解および能力形成との関わりから理論的に考察し、明らかにすること)に関する文献研究を中心的に進めながら、研究目的2(授業において具現化するための具体的な教材を開発すること)に関する教材の試案を作成する」としている。 「研究への協力体制を整える」ことについては、公立小学校教員との研究連携体制を確立した。 「研究目的1」については、文献および先行研究をもとに、基礎的考察を行った。関連する理論的考察は、今後も継続的に進めていく。 「研究目的2に向けた教材の試案の作成」については、小学2年「はこの形」、小学3年「大きな数」、小学3年「ぼうグラフ」の単元に関する教材の試案を作成し、実験授業を計画・実施し、データの収集とその分析・考察を行った。 以上から、平成24年度の研究は、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究は、おおむね順調に進展しているので、引き続き、研究計画に従って研究を進めていく。 研究計画では、「平成25年度以降は、研究目的2に関する教材の開発を本格化し、準備が整い次第、研究目的3(開発した教材の効果や妥当性を、実際の授業実践等を通した検証により明らかにすること)の授業実践等を通した検証を行う。関連する情報収集と研究の途中経過の発表は随時行う」としている。 今後は、教材開発の対象とする内容領域や学年等を広げるとともに、開発した教材を用いた実験授業の実施・検証をさらに重ねていく。そして、本研究で開発される教材を用いて子どもが見いだし説明する過程を重視した算数・数学の授業を行うことが、子どもたちの数学の内容理解、数学の能力形成、数学に対する情意の向上に寄与することを示すエビデンスの蓄積を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は主に次のように使用する計画である。 1.文献研究に必要な書籍や関連図書の整備 2.教材開発や実験授業の計画・実施・検証に伴い必要となる印刷費や消耗品の購入 3.資料の収集・整理・保存の作業委託およびそれに関わる関連機器の購入 4.成果発表および情報収集のための国内旅費および外国旅費(日本数学教育学会春季研究大会(東京)、日本数学教育学会秋季研究大会(宇都宮)、全国数学教育学会(広島ほか)、近畿数学教育学会(香川ほか)、PME国際数学教育心理学会(ドイツ)などを予定)。
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