昨年度から引き続き、米国、英国等の科学論的内容に関する理科カリキュラム・教材・実践方法に関する資料・情報を収集し、それぞれの国の理科教育における科学論的内容に関する教授の適時性を解明することに取り組んだ。研究の最終年度である今年度は、これまでの知見をもとに、その中でも米国の理科カリキュラムを手がかりに、日本の理科教育において科学的探究とNature of Scienceの内容を導入した教育課程を編成するための視点を提案した。その他、理科授業において科学論的内容を教授するためのアプローチとして近年着目されている明示的・内省的アプローチの特質を解明した。 これまで、日本の理科教育における科学論的内容に関する教授の適時性を解明するため、以下のことに取り組んだ。第1に、欧米の理科教育において教授されている科学論的内容の学年段階を中心に調査・分析した。その際、それぞれの学年段階で教授されている科学論内容とともに、教材や教授方法についても調査・分析した。例えば、科学的・工学的な実践及び領域横断的な概念との関連に着目して、米国の次世代科学スタンダードにおけるNature of Scienceの内容構成を調査・分析した。第2に、日本の児童・生徒の科学論的内容に関する認識を調査分析した。その際、科学論的内容の理解と探究能力の習得の関連性に着目し、分析を行った。調査の結果、日本の生徒は、科学論的内容に関する理解度が高いほど、探究能力をより習得していることが明らかになった。第3に、上記の知見を踏まえて、日本の理科教育における科学論的内容を導入したカリキュラムモデルを提案した。
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