研究課題/領域番号 |
24730750
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東京未来大学 |
研究代表者 |
中和 渚 東京未来大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00610718)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ザンビア共和国 / ネパール / 数学教育 / 計算 / 乗法 / 生活 / カリキュラム開発 |
研究概要 |
本年度はネパールとザンビア共和国のカリキュラムを分類、分析して、本研究において焦点化する内容を子どもたちの生活にも深く関連し、また数学教育においても重要な基礎となる「計算分野」と設定した。その理由は現地の子どもたちの低い学習達成度における根本的な問題がその分野にあるということが現地調査で判明したからである。 2012年前期においてはメールで各地の研究協力者たちと連絡協議を経て、調査内容や商店を置く数学的内容に関して暫定的に決定した。2012年9月にはネパールのカトマンズとテライ高原に位置するパラシにおいて現地調査を実施した。次いでザンビア共和国では2013年3月に現地調査を実施した。 ネパールのカトマンズやパラシでは6校の公立・私立学校を訪問して数学の授業観察を行い、数学教育の現状や課題点を把握した。ネパールの数学教育では暗記や練習偏重の学習指導が行われていることが把握された。また子どもの学習達成度についてペーパーテストや子どもを対象にした文章問題に関してのインタビュー調査を実施した。さらに、授業開発の協力者の教員と面会し、当該研究実施のための計画について話し合い、授業計画案や評価案、数学教科書といったデータやリソースを収集した。 ザンビアでは中央州のセレンジェ教育省の協力のもと2日間のワークショップを開催した。近辺の公立初等学校の5校から初等学校の教員が集まり、計算についての議論を重ねた。その話し合いの成果として1桁の乗法に関する授業開発案をグループに分かれて作成した。実際に授業も実施した。授業者以外の教員は授業観察し、記録を取り、最終的にはワークショップ形式で改善案や反省点を話し合った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ザンビアにおいては現地の研究協力者のおかげで2年目以降に計画していた授業開発の1回目をすでに実施することができ、研究は思うよりも早く進展しているといえる。ザンビアにおいては2年目には2回目の授業開発を実施する予定にして研究内容を深化・発展させることを計画している。ネパールにおいては、研究は計画通りに進行しているため2年目は授業実施まで行いたい。一方で計画に含んでいたフィリピンでは近年日本人研究者が多く現地に入っており、関係各所で立て続けて研究支援が行われていることから、日程調整がうまくいかず、1年目は進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目以降は引き続きネパールでの授業開発実施、それからザンビアでの授業開発を深化・発展させていく。教材などは適宜日本から現地に送付し、現地調査以外での連絡・議論もインターネットを通して断続的に実施していく予定である。フィリピンはほかの研究者が行っている研究状況を見て判断するが、フィリピンでの調査が実施できなくなった場合は代替処置として他国での授業開発か、もしくはザンビアとネパールにおける授業開発を継続的に行うことで、当該研究テーマの内容や教育効果を検証できるように注力していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2013年度8月、9月にそれぞれネパールとザンビアにおける現地調査を予定しており、研究費を計画通り使用する予定となっている。またそれ以外でも国内外の学会(具体的には全国数学教育学会、日本数学教育学会、国際開発学会、SAARMSTE等)において随時結果を発表することでも研究費を使用する計画を立てている。
|