最終年度では引き続きフィールドワークを行なった。ザンビアでは2016年12月と2017年3月に調査を実施して、それぞれ修学前後の子供たちに言語と数学の関連性を調べるインタビュー調査と幼児園訪問、教師・教育関係者へのインタビューを実施した。また2015年度に実施した東ティモールの小学校・中学校・大学におけるインタビューと質問紙調査の分析を行い、成果を口頭発表で行なった。東ティモールの調査においては教授言語が公用語であるポルトガル語である世代、それよりも上の世代と2-3世代で見ると教育で用いる言語が異なっており、それが数学の認識に影響を与えているということが示唆された。また公用語と教授言語が同じ世代に質問紙調査を行なったところ、文章問題の正答率が極端に低く、問題があることが明らかになった。ザンビアに関しても、就学前の幼児たちは英語をほとんど理解せず、現地語で生活しているため、学校で用いられる特別な英語の表現、教室で用いる英語表現は理解していないことも明らかになった。今後は、ザンビアで得られた調査データを分析して、多言語多文化地域における算数教育の内実について明らかにしていきたい。
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