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2012 年度 実施状況報告書

わが国の文化的背景に基づいた多文化音楽教育カリキュラム開発のための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24730751
研究機関大阪大谷大学

研究代表者

峯 恭子  大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (90611187)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード国際情報交換(米国)
研究概要

本研究の目的は,わが国固有の文化的側面に即した多文化音楽教育のカリキュラムを構築することである。全体構想における本研究の位置づけは,米国およびオーストラリアにおける多文化音楽教育に対する考え方だけではなく,多文化音楽教育の指導法の調査・分析を通して理念と指導法の間にある乖離の実態とその原因を探ることによって,諸外国の多文化音楽教育の特質を明らかにする事である。
当該年度では,まず米国における多文化音楽教育の歴史的研究を中心に,その理論と実践の間にある乖離に焦点を当てながら研究を進めた。その結果,以下のことが明らかとなった。
まず第1に,理論上では文化的マイノリティーとされる人々と一国内において共存をしていくことを目指す多文化教育の下位領域として捉えられていることである。したがって,多文化音楽教育ではアフリカ系アメリカ人を中心とした人々に対する差別を撤廃することを目的として理論が展開されているのである。
第2に,実践的側面では従来の音楽教育の目的でもある音楽的諸要素の理解に重点を置いたねらいが設定され,それに応じた活動が展開されていることである。つまり,理論上では差別や偏見の撤廃を目的としつつも,実際の活動ではその目的を果たすことが難しく,必然的にアフリカ系アメリカ人の音楽を用いてはいるものの音楽的諸要素に着目した活動になっているのである。
このように理論と実践の間に乖離があることは先攻研究では指摘されておらず,本研究で明らかとなった特徴は今後の研究において非常に重要な観点の1つに成り得る。また本研究では,今後わが国固有の多文化音楽教育カリキュラムを開発するためにわが国の幼児音楽教育の歴史的変遷についても研究を進めその特徴も明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体構想における本研究の位置づけは,米国およびオーストラリアにおける多文化音楽教育に対する考え方だけではなく,多文化音楽教育の指導法の調査・分析を通して理念と指導法の間にある乖離の実態とその原因を探ること,またそれを踏まえて諸外国の多文化音楽教育の特質を明らかにする事である。該当年度では,米国における歴史的研究は当初の計画に沿って進めることができている。一方,米国への調査研究およびオーストラリアにおける多文化音楽教育の研究に関しては資料収集を行うに留まっている。しがたって,次年度はオーストラリアにおける多文化音楽教育の歴史を明らかにしていくと同時に,米国での調査研究も進めていきたい。

今後の研究の推進方策

当該年度では,米国における多文化音楽教育の歴史的背景を分析し,理論と実践の間に乖離が生じながらもこれまで多文化音楽教育が展開されてきたことを明らかにした。本研究を進めるにあたり,資料の収集および分析を行うために研究費を使用した。
次年度は,米国における多文化音楽教育の歴史的研究を基礎として,多文化教育を先駆的に行っているオーストラリアに関する研究を進めていきたい。まず,オーストラリアで使用されている音楽科教科書をもとに,どのようなカリキュラムに基づいて音楽教育が行われているのかを明らかにする。また,教師を対象とした授業計画集や専門書等の有無を調査・資料収集を行い,それを踏まえて資料の分析・検討を進めていく。
次に,実際に多文化音楽教育を行っている米国の学校を訪問し現地での視察を行うことによって,各国で実際にどのような多文化音楽教育が行われているのかを調査研究を行う。また,これまでに明らかにした各国の多文化音楽教育に関する分析フレームワークの妥当性についての調査も同時に進めていきたい。

次年度の研究費の使用計画

次年度は以下の計画に従って研究費を使用予定である。
(1)米国およびオーストラリアの音楽科教科書の購入
(2)米国およびオーストラリアの多文化音楽教育に関する専門書および授業計画集等
(3)資料整理および情報管理のための消耗品
(4)現地調査および学会発表のための国内・国外旅費

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Kindergarten Science in the United States and Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Takuya Kotani, Noboru Tanaka, Yoshiko Nagase, and Kyoko Mine, Osaka Ohtani University, Osaka, Japan; and Kimi Hosoume
    • 雑誌名

      FOSS Newsletter

      巻: No.40 ページ: 5-7

  • [図書] 幼児教育学実践ハンドブック2013

    • 著者名/発表者名
      長瀬 美子,小谷 卓也,田中 伸 編著
    • 総ページ数
      57-74,131-138
    • 出版者
      風間出版
  • [図書] 改訂第2版 幼児の音楽教育法 美しい歌声をめざして2012

    • 著者名/発表者名
      吉富 功修・三村 真弓 編著
    • 総ページ数
      106-119
    • 出版者
      ふくろう出版

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公開日: 2014-07-24  

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