研究課題/領域番号 |
24730754
|
研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
松本 大輔 西九州大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20624498)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 体つくり運動 / 幼小連携 |
研究実績の概要 |
平成24年度の成果と課題から主体性や自主性といった学び方の側面からの交流に留まり、カリキュラム(教育課程)レベルでの連携が極めて少ないという実態が明らかになった。特に小学校段階において主体的に学ぶなどの目標と授業のねらいとの関係の問題が曖昧であり、結局のところ学び方と何を学ぶのかという内容の差異が曖昧であると考えられる。また低学年の「体つくり運動」の授業実践においても運動自体の経験という側面と学習内容という側面の関係性が曖昧であるという課題も考えられた。 こうした課題を受け平成25年度では小学校教員を対象に質問紙調査を実施し、低学年の「体つくり運動」の内容論に対して難しさを感じていること、幼小連携の意識が低いことが明らかとなった。 さらに授業観察からは幼稚園の運動遊びが発育・発達を基盤とする内容論を中心に展開されているのに対して、低学年の「体つくり運動」の授業においては方法論や指導論が中心に展開されていることが明らかとなった。これらの課題を受けて小学校低学年の「体つくり運動」の授業実践を特性論・内容論から検討し、自分づくりの学習としての授業内容論を提言し研究会にて発表を行った。 平成26年度ではこれまでの成果と課題を受け、小学校一年生の4月の多様な動きをつくる運動遊びの「新聞紙であそぼう」の授業実践研究を行った。この実践研究は東書Eネットに実践報告として発表した。この授業実践の中で教科としての枠組みが児童の遊びを拡げるための状況枠組みであると捉えられた。この視点より幼小連携における教科の問題について考察を行った。また多様な動きをつくる運動遊びの「投げる遊び」の授業実践研究においては学び方の側面と学ぶ内容という両側面の関係性を投げる意味という視点からつなぐ授業実践を行った。さらに2月にも授業実践研究を行っている。現在はこれらをまとめ、学会発表や研究誌に投稿準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまで先行研究の検討、授業観察、意識調査等から低学年の多様な動きをつくる運動遊びの内容について整理し授業実践研究を行ってきた。その中で当初の計画では低学年の多様な動きをつくる運動遊びの各内容に応じて授業検討を行う予定であったが、これまでの授業分析の結果カリキュラムベースで検討を行うことがより有意義な結果をもたらすと考察した。以上のように昨年度研究計画を変更したためまだ最終的な成果発表及び報告書の作成を行っていない。当初の計画から遅れているが、補助授業期間延長が認められたため、今年度授業分析を進め、成果発表及び報告書の作成を行い研究をまとめることとする。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策 昨年度は幼小連携及び小学校低学年の「体つくり運動」の授業実践研究が主たる研究の目的であった。その際に、指導内容の系統性という観点ではなく、いま子どもが学んでいる学習内容の系統性という観点をより重視し授業実践を行った。本年度は幼小連携からみた小学校低学年の「体つくり運動」の授業実践を分析し、カリキュラムベースの内容論の構築及びその成果の発表が主たる研究の目的となる。そのため、本年度は理論構築と成果発表を中心に行う。また先進校の実践をさらに分析し、併せて授業実践研究を深める。特に授業実践研究から得られた内容論から再度授業実践を行い理論を精緻化する。そして研究のまとめとして報告書の作成を行う。報告書の作成は、これまでの検討を総合的に考察し、幼小連携からみた小学校低学年の「体つくり運動」の授業に関する基礎的検討としての知見を導き、提言を行い、報告書を作成することとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では低学年の多様な動きをつくる運動遊びの各内容に応じて授業検討を行う予定であったが、これまでの授業分析の結果カリキュラムベースで検討を行うことがより有意義な結果をもたらすと考察したため、最終的な成果発表及び報告書の作成を行っていない。よって報告書の作成のための印刷費と成果発表旅費を未使用の状況である。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は報告書の作成と成果発表旅費に使用するのが主たる使用計画である。その他にも成果発表に関して必要となるより詳細な分析ソフトや保存のためのハード等の消耗品費にも使用する。
|