研究課題/領域番号 |
24730760
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小島 道生 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50362827)
|
キーワード | 発達障害 / 自己理解 / 自己形成 |
研究概要 |
本年度は、特別支援学校の教員に対して面接調査及びアンケート調査を実施した。調査では、発達障害者の自己理解を中心とし、指導の現状と課題について検討した。その結果、発達障害者の自己理解の指導では、指導上の困難さを抱きながらも、キャリア教育の進展もあり、積極的に取り組まれている現状が明らかとなった。特に、自分の好きなことや得意なこと、さらには自分の良さといった肯定的な側面について積極的に支援を実施していることが明らかとなった。しかし、自己理解を支援する具体的な方法と指導の成果を評価する尺度などについては、多くの教師が課題として認識していることが明らかとなった。なかでも、多面的な自己理解や過去、現在、未来といった時間軸を意識した支援については系統的に取り組まれていない現状が明らかとなった。これらから、発達障害者の多面的な自己理解や時間軸の形成を促す自己理解の具体的な支援方法と評価尺度の開発が早急な課題として明らかとなった。また、本年度は当初の計画通り、青年期発達障害者の教育について、国際的に先進的な取り組みを行っているイギリス・サリー州のThe Park Schoolなどを訪問し、最先端の取り組みについて視察を行うとともに、教職員に対して自己理解の指導方法などについて面接調査を行った。そして、これまでのアンケート調査や本年度の研究成果と先行研究を踏まえて発達障害者の自己形成を促す支援プログラムの開発に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的である、特別支援学校の教師を対象とした面接調査及びアンケートと調査については、対象者数が当初の予定よりも少なくなったものの、ほぼ予定通り実施できた。なかでも、面接調査では、発達障害者の自己理解や自己形成に関する現状と課題について浮き彫りにできつつある。また、本年度の研究計画で目的とされていた海外の先進的な取り組みの視察と面接調査についても、イギリスのThe park schoolなどへの訪問調査を実施し、ほぼ予定通り進んだ。さらに、当初の予定通り、青年期発達障害者の自己理解と自己形成に関する縦断的研究も2年目を実施することができた。そして、これまでの研究成果をいかして発達障害者の自己形成を促す支援プログラムの開発に着手している。また、初年度の研究成果の一部については、国際学会で発表を行った。以上、ほぼ予定通り研究は進展しており、また研究成果についても一部公開ができていることから、総じて、おおむね順調であると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、3カ年の研究のうち総まとめとなる年度である。発達障害者の自己理解の特性を踏まえた自己形成支援プログラムの開発と有効性を検証することが一つの目的となる。なかでも、教育現場での有効性についても検討する。また、発達障害者の自己理解と自己形成の縦断的研究についても、3回目を実施する予定である。これまでの研究成果については、学会発表や学術論文で積極的に公開していく予定である。そして、3カ年のまとめとしてガイドライン、研究成果報告書を作成する。さらには、ホームページにおいても研究成果について一部公開を行っていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年度、海外出張において計画していた運賃からよりも低い額になったため、当初予算から差額が生じた。これらの予算については、本年度の調査及び学会発表旅費で用いる予定である。 本年度は、開発したプログラム検証を行うための研究調査旅費、これまでの研究成果を発表するため、学会発表旅費などで旅費を用いる。また、ガイドラインや報告書の作成のための印刷費、さらにはそれらの郵送ための通信費などを使用する。さらには、国際的な発信のために英文校閲をその他の費用から活用する予定である。
|