本研究は、青年期発達障害者の自己理解の特徴を明らかにするとともに、自己理解の特性を踏まえた自己形成支援プログラムを開発することであった。最終年度の本年度は、これまで2カ年の研究成果を生かして、独自の自己形成支援プログラムの開発を試み、その一部について特別支援学校などの教育現場や大学における教育相談場面で適用を試み、その効果について検証を行った。自己形成支援プログラムは、自己理解の特性に基づき、STEP1~SETP5の5段階に分かれている。具体的には、STEP1は身体的な感覚を通しての自己理解、STEP2は現在の自分についての自己理解、STEP3は自分の良さについて理解を深める、STEP4は多面的な自己理解と時間軸の形成、STEP5は自分らしさの認識、という段階になっている。特に、プログラムでは、他者とかかわりながら、自己理解を深めて自分の将来の進路について考えるという取り組みが中心となっている。特別支援学校及び個別支援として事例的にプログラムの効果について検証した結果、プログラムの有効性が明らかになるとももに、その限界も明らかとなってきている。特に、理想自己と現実自己のギャップが大きい場合に、どのような支援が有効になるのか、さらなる検討が必要と考えられた。 また、本研究全体を通して、青年期発達障害者を対象とした自己理解及び自己形成に関する縦断的な面接調査を実施した。3カ年の縦断的検討を通して、青年期発達障害者の自己理解の特徴として、徐々に自己評価が厳しくなったり、将来なりたい自分について抱けるようになるなど発達的な変化が明らかとなった。 なお、本研究全体の成果については報告書を作成し、関係者や関係諸機関に対して配布を行った。
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