研究課題
本研究は、発達性読み書き障害を評価する教育評価法に関して、評価と指導が直結した新たな評価・指導パッケージを開発することを目的としている(Kochi University Literacy Assessment Scales, KULAS)。本研究は主に「評価法の開発」および「指導法の開発」からなる。「評価法の開発」に関しては、2つのバージョンを作成した。1つ目は、視写課題(見て書き写す)、聴写課題(聞いて書き写す)、読み取り(読んでまとめる)、聞き取り(聞いてまとめる)、音読(早く正確に読む)の5課題構成であり、小学生1862名から標準データを収集し、指標点(T score)やカットオフ値を求めた。また、研究を進める中で、特に聴写課題について、多くの者が正解/不正解の項目があり再構成の必要が考えられたことから、正答率を指標とした項目の絞り込みを行って、全80問から36問構成とする短縮版を作成した。この短縮版は、小学生242名に実施した。ただし、短縮版は収集できた学年に偏りが生じたため全学年を通した標準化は難しいと判断された。高知大学教育学部特別支援教育相談室(相談室)に来室している読み書き障害児を対象として、評価法を実施し他のアセスメント結果や標準集団との比較を行った。その結果、評価法から示唆される特性について、WSICやDN-CASなどのアセスメント結果と概ね一致する傾向があることが示唆され、本評価法にて、読み書きとその背景となる認知的特性バランスをスクリーニングできていることが考えられた。KULASの普及に関して、教員向け研修会等の場を利用した広報活動を行った(全26回)。また当初の計画では、冊子化し配付する予定であったが、評価法の短縮版に関するデータ収集の偏り等への対処のために進捗が遅れ年度内に配付することができなかった。
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Pediatric Neurology
巻: 54 ページ: 55-63
日本教育大学協会研究年報,
巻: 33 ページ: 75-85