研究課題/領域番号 |
24730766
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
後藤 多可志 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (50584231)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発達性読み書き障害 / 学習障害 / 音読 / 正確性 / 流暢性 / 視覚的要因 / 文字の大きさ / 文字と文字の間隔・行間 |
研究概要 |
1.本研究の目的 学習障害(LD)の中核症状は、発達性読み書き障害(developmental dyslexia)すなわち読み書きの問題であると考えられている(Lyon et al.,2003 ; 宇野ら,2002)。発達性読み書き障害の日本での出現頻度は約8%と報告(Uno et al.,2009)されており、発達障害の中では最も多い障害群である。特別支援教育における発達性読み書き障害児への読み書きの支援は目下の急務と考えられる。2008年に施行された「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」では、国の責務として弱視の児童生徒に加え、通常の教科書での学習が困難な児童生徒にも拡大教科書の活用ができるよう調査研究を推進することが謳われている。発達性読み書き障害の児童は拡大教科書がもたらす恩恵を強く受ける可能性があるが、日本では未だ充分な検討がなされていない。日本語話者の発達性読み書き障害児に対する拡大教科書の学習支援効果を明確に示すためには、拡大教科書によって変化する視覚的要因(文字の大きさ、文字と文字の間隔および行間)が、客観的評価診断を受けた発達性読み書き障害児の音読の正確性と流暢性にどのような影響を及ぼすのか、音読実験から得られるデータによって明らかにする必要がある。本研究では、拡大教科書によって変化する視覚的要因(文字の大きさ、文字と文字の間隔および行間)が、日本語話者の発達性読み書き障害児の音読の正確性と流暢性に与える影響を明らかにする。 2.本年度の研究実績 本年度は、第1研究(文字の大きさに焦点を当てた研究・平成25年度実施)と第2研究(文字と文字の間隔や行間に焦点を当てた研究・平成26年度実施)で使用する音読課題の刺激を作成するために国内外の学術論文を収集し、音読課題の刺激のほか、実験手続きや解析方法等についても情報を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、本年度に音読課題の刺激を作成し、第1研究である文字の大きさに焦点を当てた研究(平成25年度実施)と第2研究である文字と文字の間隔や行間に焦点を当てた研究(平成26年度実施)に先立ち予備実験を実施する予定であった。 本年度は、音読課題の刺激作成を含んだ実験計画の立案までしか実施することができず、本研究の本年度における達成度は遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、平成25年度は、日本語話者の発達性読み書き障害児を対象に、拡大教科書によって変化する視覚的要因の1つである文字の大きさが、音読の正確性や流暢性に与える影響を明らかにする。研究実施に先立ち、文字の大きさの異なる音読課題を作成し、予備実験にて実験計画の妥当性と信頼性を十分に検討した上で本実験を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度実施予定であった予備実験に掛かる費用(実験条件を統制した音読課題を実施するために必要な各種備品の購入費)を次年度に持ち越した。次年度は、当初の計画通り、第一研究(文字の大きさが、日本語話者の発達性読み書き障害児の音読の正確性や流暢性に与える影響を明らかにする)を実施することから、音読実験の実施に必要な各種備品を購入する。その他、国内外の学会や研究会を中心に最新情報収集のための調査に掛かる旅費や、海外の学術論文誌へ研究内容を投稿する際の英文校閲料として研究費を使用する。
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