研究課題/領域番号 |
24730769
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
甲斐 更紗 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 客員研究員 (40589636)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 聞こえない子 / 家族関係 / アイデンティティ / アセスメント |
研究概要 |
本研究は聞こえない者のアイデンティティ発達と家族関係の様相を詳細にし、聞こえない者のアイデンティティ発達と家族関係に焦点をおいた心理臨床的支援が実施できるアセスメントツールを検討することを目的とする。それに向けて、平成24年度は①聞こえない子どもと聞こえる家族の集団活動の参与観察調査と、②聞こえる家族(子育てを終えた母親対象)への質問紙調査、③先駈的な取り組みの実態調査を実施した。①聞こえない子どもと聞こえる家族の集団活動の参与観察調査(1)期間:平成24年8、11月(計12時間)(2)方法:近畿地区の難聴児をもつ親の会の総会、聴覚障害者支援施設内の聴覚障害児と聞こえる家族との交流会の様子を参与観察した。(3)調査内容:活動の中でのさまざまな出来事における親子関係や、家族についての感情の変化。(4)結果:約15家族の状況を参与観察した。現在、抽出したエピソードをグラウンデッド・セオリー・アプローチで分析中である。②聞こえる家族への質問紙調査(1)期間:平成24年4~6月(2)方法:近畿地区の難聴児をもつ親の会に質問紙を郵送配布した。(3)調査内容:聞こえない子を育てる中でのサポートの人材やサポート内容、育てているときの母親の気持ち、必要としている支援のニーズ。(4)結果:17名の母親から得られた記述的データ(回答)をKJ法で分析した。 それらの研究の結果をもとに、聴覚障害/ろう(聾)者の言語・文化・教育を考える研究会(http://www.arsvi.com/o/deaf01.htm)および、手話で語る心理臨床研究会(https://sites.google.com/site/deafpsychotherapy/)を継続発展させ、聴覚障害者支援従事者(ソーシャルワーカー、サイコロジストなど)と聴覚障害者支援の現場に還元できる支援のあり方について議論させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外における先駆的な取り組みの実態調査において文献収集を実施することができたが、視察やインタビュー調査を実施することができなかった。だが、国内において、参与観察と質問紙調査を実施することで、データを収集し分析を進めることができた。しかし、論文化作業において、投稿した論文がリジェクトされるということが続き、なかなか公開および社会還元ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画予定にそって、ヨーロッパ地域の先駆的な取り組みの実態調査と、聞こえない者対象の半構造化面接、人工内耳装用児や軽度中等度難聴児をもつ親への質問紙調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費(アセスメントバッテリー用具、図書購入費、SPSSソフトウェア、分析用パソコン、映像データ分析編集ソフトウェア)、消耗品費(記録媒体、文房具、プリンターインクカートリッジ)、旅費(調査・情報収集の旅費、成果発表・意見交換の学会・研究会参加旅費、手話通訳者旅費、海外の実態調査や学会参加の旅費、手話通訳者の旅費)、人件費(研究補助、調査謝金、手話通訳者謝金、英文校閲)、文献複写費、郵送費(質問紙郵送など)として使用。
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