研究課題
本研究の目的は、ターミナル期にある子どもの「生を支える」という観点から、「医教一体体制」のモデルを提案することである。具体的には、①子どもホスピスを中心とした小児ターミナル期トータルケアの体制、②病弱教育体制(担当教員の養成・カリキュラム作成)について調査・研究し、よりよい病弱教育システムの開発を目指す。研究にあたっては、国際比較の観点を用いる。つまり、日本と同じような問題を抱えつつも子どもホスピスの設立や医療と学校教育の連携を積極的に行っている先進的な福祉国家・ドイツとスウェーデンを調査し、子どもホスピスや、病弱教育における教員養成の理論が日本で応用できるのかどうかを検討する。最終年度は、上記の②病弱教育体制について、日本国内の病弱教育担当教員に向けてのアンケート調査及び聞き取り調査を行い、医療者と病弱教育担当者及び対象となる子どもの前籍校との連携についての実情について調査した。それにより、医療者と病弱教育担当者との連携においては、医療現場によってその頻度や内容にかなりバラつきがあり、対象となる子どもの身体面、心理面において十分な連携が図られていない場合ある。また、ターミナル期の場合、子どもが亡くなった後、病弱教育担当者が医療者とデスカンファレンスなどで情報を共有する機会がないこともあり、心理的ダメージを抱えたままの者がいることが明らかとなった。また、前籍校との連携においては、病弱教育担当者のみで調整を行うよりも、医療者にも積極的に関与してもらうことにより、よりスムーズな連携が取れることが明らかとなった。
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Journal of Intercultural Studies No.44, pp.95-112
巻: 44 ページ: 44-49