研究課題/領域番号 |
24730773
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
柳澤 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育情報部, 主任研究員 (10435282)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自閉症 / 幼児 / 家族支援 / 家族との連携 |
研究実績の概要 |
本研究では、特別支援学校(知的障害)幼稚部での自閉症のある幼児の家族への支援及び家族との連携に関わる実践を通して、家族と教員とのパートナーシップの形成条件(教員に求められる資質や能力、幼稚部内の体制)を明らかにすることを目的とする。 各研究協力機関3校を定期的に訪問し、幼稚部での教育活動(親子教室、親学習会を含む)の参与観察、各校の家族への支援及び家族との連携にかかる実践の進捗状況を確認し、実践の成果と改善点について協議を重ねてきた。研究協力機関においては、それぞれの重点課題の改善に努め、実践を進展させてきた。3年間の研究協力機関での家族支援と家族との連携に関わる実践事例、それら取組に対する保護者へのアンケート結果から、パートナーシップの形成に関わる条件(教員に求められる資質や能力と幼稚部内の体制)を抽出し整理した。教員に求められる資質・能力の具体としては、①日常的な家族とのコミュニケーション、②家族のことを知ろうとする姿勢、③家族から子どものことを学ぶ姿勢、④家族にわかる伝え方、⑤教員全員で子どもと家族を支える意識が挙げられた。また、幼稚部内の体制づくりとして、自閉症のある子どもや家族への理解、幼児教育の専門性を高めるための教員研修や授業研究会の重要性が示された。 次年度刊行予定である「自閉症のある幼児の家族と教員との連携のための手引き(仮称)」の趣旨及び構成について協議し、執筆方針について共通理解を図った。手引きは、「家族同士の交流と仲間作り」、「わが子について知る・学ぶ」、「子育てに必要な力を体得する」、「幼稚部内での連携・協力体制づくり」、「センター的機能としての家族支援」を柱とし、それぞれの柱で取り上げる各研究協力機関の実践事例を確認した。現在、研究協力機関には、原稿執筆を進めてもらっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に刊行予定である「自閉症のある幼児の家族と教員との連携のための手引き(仮称)」は、研究協力機関の協力のもと執筆を開始しており、予定よりも早く進行している。特別支援学校幼稚部をはじめ幼稚園や保育所などでも活用してもらえる手引きとなるように、研究協力機関と連携しながら手引きの作成を進めていく。 研究協力機関での自閉症のある幼児の家族への支援の取組については、研究紀要への投稿をめざして現在、研究論文としてまとめているところである。
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今後の研究の推進方策 |
研究協議会や定期的な打ち合わせを通して研究協力機関と連携しながら、「自閉症のある幼児の家族と教員との連携のための手引き(仮称)」の作成を進める。 3年間研究を進め、研究協力機関での保護者研修会や日常的な教育活動に参加してきたことにより、保護者との関係性が深まってきた。今後の研究や実践の発展を見据えて、保護者への聞き取り調査を実施し、学校での家族支援や教員との連携に対する保護者の意識についても明らかにしていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
特別支援学校幼稚部を対象としたアンケート調査を計画していたが、特別支援学校(知的障害)の数が全国的に非常に少ないことから、目的に沿ったデータを得ることが難しいと判断し、研究計画を変更し実施しなかった。 「自閉症のある幼児の家族と教員との連携のための手引き(仮称)」を特別支援学校幼稚部だけでなく幼稚園や保育所にも発信することが、研究成果の普及と早期からの家族支援の重要性を啓発することにつながると考え、手引きの作成とその普及の費用に使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
手引きの印刷費及び関係機関への発送費、学会発表(於:札幌)に係る旅費、研究協力者の研究協議会への出席や研究協力機関訪問に係る旅費、研究協力者への謝金として使用する予定である。
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