通常の学級において、発達障害児も含めた誰もがわかるユニバーサルデザインな授業の開発は学校現場の喫緊の課題となっている。本研究では、発達障害児の在籍する通常の学級における指導プログラムの開発を行い、教師及び子ども向けガイドブックの作成を行うことを目的とした。 1.年齢段階別の「学び方を学ぶ授業」カリキュラムの開発 : 通常の学級(小学3、5、6年生)において、子ども用テキストを活用した授業や、漢字学習を題材に記憶や注意、やる気の力やマルチ知能を活用して学び方を個々に工夫させる授業や、家庭自主学習を行った。その結果、子どもたちに自己の学習に関する気づきが深まる様子や、工夫を自ら考える様子がみられた。また、学習意欲の向上や学習の習得に効果がみられた。 2.「学び方を学ぶ学習」と学び方選択式協同学習を組み合わせた実践モデルの開発 :実践から、学び方を子ども自ら選択することが、やる気を高め、ひいては学習課題の深い探求と理解へ繋がっていることが示された。また、「学び方を学ぶ」学習によって一人一人の学び方が異なっていることを意識化させたため、支援の必要な子どもへの授業中の支援が特異なものとして目立たず、スムースに自然に行えること、協同学習は多様な学び方を許容しやすい授業技法であること、また国語、算数、理科、図工等の様々な教科において、また低学年から高学年まで適用可能であることが明らかになった。また、マルチ知能や「やる気・注意・記憶」の観点からの授業づくりの効果等に関する教員アンケートの結果から、異動したばかりの教員に対する研修の必要性が指摘された。 3.教員向けガイドブックの開発:基礎的な内容や実践例を掲載した教員向けガイドブックや子ども用テキストを市販本として計3冊刊行することができ、さらに、子ども用テキストを活用した授業実践も開発することができ、当初の目的を達成することができた。
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