研究概要 |
一括りで述べれば我々の研究対象はaffine uniruledな3次元アフィン代数多様体である.2次元アフィン代数多様体(アフィン曲面)の場合には,affine uniruledという概念とaffine ruledという概念は一致することが知られているが,3次元(以上)になるとaffine uniruledであるがaffine ruledではないような3次元(以上の)アフィン代数多様体は存在する.(ただしそのような例の構成は自明ではない.実際に,そのような例の構成については,以前のDubouloz氏との共同研究の内容である.)そのような病的な例としては,3次元射影空間内の非特異3次曲面の補集合とか重み付き射影空間P(1,1,2,3)内の非特異6次曲面の補集合というものが挙げられる.これらの多様体がaffine uniruledでありながらaffine ruledでないという病的な性質を有していることは偶然に発見したのであるが,何故そのような現象が発生するのかという内的なメカニズムの解明には至っていない.しかしDubouloz氏との継続的な共同研究によって,少しずつその本質が明らかになってきた.例えば重み付き射影空間P(1,1,2,3)内の非特異6次曲面Sの補集合X=P(1,1,2,3)-Sの場合には,Sの幾何学的特徴を浮き彫りにする特殊な超平面Hをとってきた上でSと6Hで生成される線形束Lを考える.Xの幾何学を理解するには,Lの基底点を可能な限り明示的に解消して,解消後に得られた線形束に付随した射に双対的に極小モデルプログラム(MMP)を具体的に実行することが求められる.2次元迄と違い,3次元以上の場合にはMMPを詳細に記述することは困難が伴う.しかし我々はLの解消およびMMPのプロセスを非常に明示的に記述することに成功した.
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