研究課題/領域番号 |
24740007
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
和田 堅太郎 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (60583862)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表現論 / Hecke環 / 量子群 / 複素鏡映群 / 圏化 / 組み合わせ論 |
研究実績の概要 |
G(r,1,n)型の複素鏡映群に付随する cyclotomic Hecke 代数の準遺伝被覆である cyclotomic q-Schur 代数のモジュラー表現論について研究した。 前年度までに得られていた,cyclotomic q-Schur 代数の可算無限個の生成元と関係式を用いた実現において,これまで扱っていた生成元の取り方を少し変えることによって,パラメータ q を 1に特殊化することができ,q=1 の場合は,ある Lie環の普遍包絡環となっていることが分かった。また,この Lie環は一般線形Lie環のカレントLie環の filtered deformation になっていることが分かった。つまり,cyclotomic q-Schur 代数を実現するために新たに導入した代数 U は,一般線形Lie環のカレントLie環の filtered deformation の q-類似として理解出来ることが分かった。この代数 U は Hopf 代数の構造を持ち,cyclotomic q-Schur 代数の表現論において有効な道具であることを期待しているが,その根拠の一つとして,q=1の場合に,Lie環の普遍包絡環の Hopf 代数の構造を利用して,cyclotomic q-Schur 代数の Weyl加群のテンソル積の分解について調べ,それが指標の積の分解と整合的であることを示した。これらのことを論文にまとめプレプリントとして発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに導入した代数 U が一般線形Lie環のカレントリー環の filtered deformastion の q-類似になっていることが分かったことによって,これまでに知られている様々な手法を応用することが可能となった。それらを用いて,cyclotomic q-Schur 代数の表現論の理解が進み,関連する表現論との関係も徐々に明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
cyclotomic q-Schur 代数の表現論を新たに導入した代数 Uを用いてさらに詳しく調べていくのと同時に,関連する表現論との関係を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んでいたよりも安価で研究が遂行できたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額とH27年度請求額を合わせて,当初計画に加えて連携研究者を招聘するための費用にあてる予定。
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