研究課題/領域番号 |
24740015
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川口 周 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20324600)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 標準的高さ / アラケロフ幾何 / 解析的トーション |
研究概要 |
代数体上に定義された代数多様体の有理点については,その算術的な「大きさ,複雑さ」を測る量として高さとよばれる量がある.代数多様体がそれ自身への支配的有理写像を持つときに,その写像に関して良く振る舞う高さ(標準的)が存在すれば,その標準的高さを用いて代数多様体と写像の算術的な性質を分かることがある. 今年度は,ブラウン大学のジョゼフ・シルバーマン氏と研究打ち合わせを重ね,有理点の算術的な増大度と写像の次数の増大度の関係を,一般の支配的有理写像に関して得ることができた.さらに,この関係を用いて,今までよりも広い範囲で良い高さ関数が存在することが分かった.特に,自己射のときにはかなり満足できる結果を得た.応用として,アーベル多様体のネフな直線束に関する標準的高さ関数について,その高さが0の有理点はアーベル多様体で次数の低い部分アーベル多様体を平行移動した部分アーベル多様体の有限個の共通和に含まれることが分かった.これらは,プレプリントとして arXiv:1208.0815, arXiv:1212.3015, arXiv:1301.4964 にアップロードされている. また,一般に,完備な離散付値環上の半安定な曲線が与えられたとき,特殊ファイバーの重み付き双対グラフが考えられる.山木壱彦氏と共同で,その双対グラフ上の因子がいつ一般ファイバーの因子に,階数を保ったまま持ち上がるかという問題を考え,楕円曲線の場合に満足できる結果を得た.これは,プレプリントとして arXiv:1304.6979にアップロードされている. (数年前の regular polynomial autom に関するプレプリントは雑誌掲載が決まった.前年度から調べ始めた,標準的ベクトル高さが一般にはK3曲面で存在しないことはプレプリントにまとめ雑誌掲載が決まった.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は幸運にも研究が非常に順調に進み,4つのプレプリント arXiv:1208.0815,arXiv:1212.3015, arXiv:1301.4964,arXiv:1304.6979 にまとめることができた.
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今後の研究の推進方策 |
標準的高さ関数についてかなり理解が進んだが,まだ一般の支配的有理写像については標準的高さ関数がいつ存在するかや,存在するときにはどのような性質を持つかはまだ分からないことが多いので,調べていきたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
6月に台湾で関連する研究集会があり講演の機会も与えられているので,旅費として使用したい.また,9月にもフランスで関連する研究集会があるので,旅費として使用したい.その他,関連する研究集会に参加し研究打ち合わせをするための旅費に用いたい.また,今年度に購入したPCに必要なソフトウェアの購入と,研究で必要な書籍の購入に研究費を用いたい.
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