研究課題/領域番号 |
24740016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森山 知則 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80384171)
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キーワード | 整数論 / 保型形式 / 表現の模型 |
研究概要 |
2013年度前半は、主に、以前から行っている実解析的Siegel保型形式のFourier展開の実素点における研究を継続した。特に、隣接する極小Kタイプを持つ大きな離散系列の一般化Whittaker関数(しばしばBessel関数とも呼ばれる)の間の関係式を与えることを目標とした。この関係式は完成すれば大きく分けて4つの場合からなると期待されるが、もっとも計算が困難な場合を一つを除く3つのケースについては結果を得た。また、こうして得られた関係式が、従来から知られていた一般化主系列表現の一般化Whittaker関数の公式と整合的であることも確認することができた。ここで用いた手法の拡張性及び実解析保型形式の構成問題に関する応用に関しても検討した。 後半の時期は、実解析保型形式の構成問題への応用を念頭に、(1)G. Zuckermannによる導来函手加群及び(2)格子の自己同型群の不変式環、の二つのテーマに関して情報収集を行った。近年の保型形式論では、導来函手加群に関する確立された基礎理論の「応用研究」はすでに多く行われているようだが、本研究課題への応用を考える上では、その構成にまで立ち戻って深く理解しておくことが重要であるとの感触が強まった。そこで、この考えに基づいて、情報収集を行い、その一部は3月にワークショップで口頭発表を行い近隣の研究者との意見交換に努めた。不変式環に関しては、基本的な文献のいくつかに目を通した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は前半は、一般化Whittaker模型に関する計算を中心としてこれまでの研究を進め、当初のプランがある場合には実行できた。また、後半は、導来函手加群に関する情報収集が当初の予定の8割以上は実行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度前半に得た実解析的Siegel保型形式のFourier展開の実素点における研究を論文にまとめていく。また、導来函手加群に関する情報収集をもう少し継続し、それの実解析保型形式の構成問題への応用に関して研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、予定していた研究打ち合わせが、先方が学内業務で多忙のため延期したため。 研究打ち合わせ旅費に用いる予定。
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