研究課題
最終年度に当たる今年度は,これまでの研究成果に関連して次を実施した.1.複素球冪零軌道における可視的作用の理論において,各軌道と交叉するスライスおよび反正則対合の一般論を研究した.また,本研究の成果を,京都大学数理解析研究所研究集会(6月),表現論シンポジウム(11月),マラケシュでの国際研究集会(12月)にて発表した.また,本研究結果の概要を京都大学数理解析研究所講究録にまとめた(12月).2.ケーリー型球等質空間に対する可視的作用の視点から,カルタン分解の理論を研究し,日本数学会秋季総合分科会(9月)にて発表した.3.本研究課題から派生した研究として,次を研究した.非コンパクト既約エルミート対称空間を底空間とする直線束に対して,次の6条件はすべて同値であることを証明した:エルミート対称空間は非管状型である;直線束の複素化が球的である:直線束の複素化は可視的作用をもつ:直線束が可視的作用をもつ:正則離散系列表現が極大コンパクト部分群の交換子群の認容表現になる:スカラー型正則離散系列表現が交換子群の表現として無重複となる.前半3つの条件の同値性は本研究課題を提案する動機となった研究結果である.4つ目の条件は,スライスの構成に関する研究を通して得られた.表現論に関する条件は,小林俊行氏による無重複性の伝播定理や認容表現の判定条件を用いて得られた.本研究の結果をまとめた論文がProceedings of the Japan Academy Ser. Aに掲載されることが決定した.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
Proceedings of the Japan Academy, Ser. A
巻: 91 ページ: 70, 75
京都大学数理解析研究所講究録1929 「群作用と部分多様体論の展開」
巻: 1929 ページ: 112, 123