昨年度から引き続きヴィラソロ元から定まる宮本の自己同型と3互換群について研究を行った。これまでに3互換群を一般的に構成する手法を見出したが,3互換群における互換の中心化群をとる帰納的構造を考えた場合,互換に対応する軸ベクトルと呼ばれるヴィラソロ元の交換団部分代数をとり,中心化群を作用させる代数を小さくとる必要があった。群の互換類と軸ベクトルの間の自然な対応(コンウェイ・宮本対応)を考えた場合,交換団部分代数上では軸ベクトルの定める宮本の自己同型が自明になりえることが分かり,その場合,自己同型を修正し,別の型のものを考える必要性がある。この自己同型の型がどのように定まるのか,決定することが課題であった。この問題はN=1超ヴィラソロ代数の表現論を用いることで決定できることが分かったので今年度の研究ではN=1超ヴィラソロ代数のユニタリー表現のうち,未完成であったラモン代数の表現論を補完し,その有理性を証明し,応用することで宮本の自己同型の型を決定する結果を得た。ここでは3次元のグライス代数構造を用いており,具体例において簡単に確認できる条件として定式化を行い,これまで個別に考えていた自己同型の型に関する問題を一般的に決定することができるようになった。その応用として,先述の3互換群の互換類と軸ベクトルとの間の対応において宮本の自己同型の型を帰納的に決定することができるようになり,特に23次および22次のフィッシャー3互換群についてコンウェイ・宮本対応を厳密に確立することができた。以上2つの結果をそれぞれ論文にまとめ,プレプリントサーバーに投稿した。 また,4元符号に付随する頂点作用素代数の位数3の自己同型による不動点部分代数において中心電荷4/5のシグマ型ヴィラソロ元の分類問題にも取り組み,非自明なものはヘキサコードに付随する頂点作用素部分代数に含まれるものに限られることを示した。
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