研究課題/領域番号 |
24740035
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
鈴木 正明 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (70431616)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 結び目群 / 全射準同型 |
研究概要 |
3次元球面内の結び目の補空間の基本群を結び目群と呼ぶ。結び目群は結び目の不変量であるが、一般に群が同型であるかを決定することは難しい問題である。そのため結び目群の構造を研究することに意義があり、特に本研究では、結び目群の間に全射準同型が存在するかという問題を考察した。さらに、単に代数的に結び目群の間に全射準同型が存在するかだけでなく、結び目群のメリディアンの像に着目をした。メリディアンは結び目群の正規生成元である。すなわち、結び目群の任意の元はメリディアンもしくはその逆元の共役の積で表すことができる。さらに上記の条件を満たす元、すなわちその元もしくはその逆元の共役の積で結び目群の任意の元を表すことができるような元を擬メリディアンと呼ぶ。 本研究課題の初年度は5_1と呼ばれる結び目の擬メリディアンを見つけた。これは5_1が2橋結び目と呼ばれる結び目であることを使い、結び目群の表示を擬メリディアンを構成するのに都合の良い表示に書き換えることができたからである。同様の方法で2橋結び目でありかつトーラス結び目である結び目は多くの擬メリディアンを構成できることが予想される。 その元を使い、メリディアンを5_1のメリディアンへうつす全射準同型が存在する結び目の発見に挑戦をした。しかし上記の条件を満たすような結び目は100交点以下では構成することができなかった。これは100交点以下では存在しないことを示したわけではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ての結び目に対して擬メリディアンの特徴づけを行うことはできなかったが、いくつかのタイプの結び目に対しては擬メリディアンの構成方法を見つけることができた。 また、当該年度に予定していたことよりも早く、5_2に対してはメリディアンを擬メリディアンにうつす全射準同型の考察を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、結び目の擬メリディアンの特徴づけを行う。 並行してメリディアンを保たない全射準同型の構成方法を考察する。現在本研究代表者が使っている構成方法は、試行錯誤の上で構成するという方法で、さらに交点数が多くなってしまう。そこであまり交点数が多くならない構成方法を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はメリディアンを保たない全射準同型を探索するため、ハイスペックな計算機を導入し、数多くの写像を調べる。 また、浦項工科大学のJae Choon Cha氏は結び群間の全射準同型に関して研究を行っているので、訪問して研究打ち合わせを行う。
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