研究課題/領域番号 |
24740037
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 敦 筑波大学, 数理物質系, 助教 (00531451)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 位相幾何学 / 結び目理論 |
研究概要 |
本年度に実施した研究の成果は、multiple conjugation quandleを導入し、ホモロジー・コホモロジー理論を構築したことです。この研究はScott Carter氏と齋藤昌彦氏との共同研究です。multiple conjugation quandleは研究代表者と岩切雅英氏、大城佳奈子氏、張娟姫氏との共同研究で導入したG-family of quandlesのassociated quandleを拡張した代数構造であり、幾何的には頂点での彩色条件を最大限に緩めたものということができます。ハンドル体結び目や空間グラフの不変量を組み合わせ的に状態和として得るためには、交点と頂点にダイアグラムの基本変形から定まる条件を満たす重みを付けることが必要です。この組み合わせ的な条件をホモロジー・コホモロジー理論に取り込まれる形で再現したことが研究の成果です。このような研究成果を得るためには、科学研究費補助金を用いて出張を行い、研究会議で国内外の研究者と議論を交わすことが重要でした。特に、本研究に関連した研究会議として「ハンドル体結び目とその周辺V」が10月に開催されました。この研究会議では、張娟姫氏によるG-family of quandlesのまとめ、鄭仁大氏による結び目とハンドル体結び目のアレキサンダー不変量の違いの研究、井上歩氏によるアレキサンダー多項式と彩色数の関係の研究、北山貴裕氏によるハンドル体結び目のねじれアレキサンダー不変量の研究がありました。またハンドル体結び目に関連した低次元トポロジーの重要な問題についても話し合われました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように研究成果が出ている。 本研究に関連する研究会議も滞りなく開催されている。
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今後の研究の推進方策 |
multiple conjugation quandleはホモロジー・コホモロジー理論を持つ適切な代数構造であることが分かったが、実際に不変量を構成するためには具体的な例の構成とコサイクルを見つけることが必要です。multiple conjugation quandleの中の重要なクラスであるG-family of quandlesのassociated quandleを手掛かりに例とコサイクルを構成し、ハンドル体結び目の鏡像の判別などに役立てます。 研究を効率よく進めるために関連する研究会議やセミナーなどに参加し情報収集を行います。また研究成果の発表を通して、研究成果に対するフィードバックを得ることで、研究成果をさらに洗練させます。このように適切に出張を行うことに加えて、研究会議「ハンドル体結び目とその周辺VI」を開催します。研究会議の開催によって人的交流を促進し研究者同士の活発な議論を引き起こすことで、深みのある研究を加速させます。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外で開催される研究会議への参加旅費、研究会議「ハンドル体結び目とその周辺VI」開催のための会議費、トポロジーセミナーや研究会議での講演依頼時における講演謝金など、本研究を円滑に進めていくために科学研究費補助金を使用します。
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