研究課題/領域番号 |
24740041
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
斎藤 敏夫 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90397670)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 3次元多様体 / Heegaard分解 / 結び目 |
研究概要 |
【結び目の複雑度に関する研究】 3次元球面内の結び目の複雑さを表す指標のひとつとして,ブリッジ数brg()やトンネル数tnl()といった概念が良く知られている.結び目の連結和によるこれらの振る舞いは国内外の多数の研究者によって研究され,完全ではないもののある程度の解明がなされている.一方,3次元球面内の結び目は,それと4点で交わる2次元球面により,2つのタングルに分解される.本研究では,各タングルに対してもブリッジ数やトンネル数という概念を導入し,これらによって結び目のブリッジ数やトンネル数がどのように評価できるかについて考察を行った.当該年度の成果としては,まず次の不等式を得た.結び目Kが2つのnタングルT,T'に分解されるとき,次の式が成立する: (1) brg(K)≦brg(T)+brg(T')-n,(2) tnl(K)≦tnl(T)+tnl(T')+2n-1. さらに,不等式(2)については,結び目の複雑さを計るために既に導入済みの概念,meridional destabilizing numberを用いれば,より良い評価式を得ることができることも分かった.実際,森元結び目はこの改良された評価式の等号を成立させる例となっている. 【結び目のレンズ空間手術に関する研究】 レンズ空間手術予想の解決へ向けて,対象をトンネル数1の結び目,すなわち,結び目外部空間が種数2のHeegaard分解を許容する結び目によるデーン手術とし,この操作によりHeegaard種数が落ちる場合の特徴付けを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【結び目のレンズ空間手術に関する研究】においては,当初の計画よりも若干の遅れを感じている.一方,【結び目の複雑度に関する研究】では,新たな概念の導入が成功し,申請時点とは少し異なった観点からの研究の可能性が芽生えている.以上より,総合的に判断して,研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
【結び目のレンズ空間手術に関する研究】においては,次年度も同様の手法を用いて研究を継続する.また,【結び目の複雑度に関する研究】では,当該年度で得られた成果のさらなる発展を目指す.いずれの研究テーマも,国内外の研究集会や各種セミナー等で発表を行い,できるだけ多くの研究者から意見・助言を得ることで今後の研究を推進させる.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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