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2013 年度 実施状況報告書

ガウス写像の性質に基づく曲面の大域的性質の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24740044
研究機関山口大学

研究代表者

川上 裕  山口大学, 理工学研究科, 講師 (60532356)

キーワード幾何学 / 函数論 / 値分布論 / 曲面論 / ガウス写像 / 波面(フロント) / 一意性定理 / ガウス曲率
研究概要

本研究の目的は,空間内の曲面の大域的性質を調べる方法として,ガウス写像の像の様相と曲面の形状との関係を解明し,その応用を与えることであった。この目的のもと,本年度は曲面のガウス写像の函数論的性質について次の2つの結果を得ることができた。
1つは,ガウス写像の分岐定理についてである。報告者は昨年度に非平坦完備極小曲面のガウス写像の除外値数の上限である「4」や楕円型放物面でない弱完備な非固有アファイン波面のラグランジアンガウス写像の除外値数の上限である「3」の幾何学的意味を明らかにすることができた。これは,曲面の等角計量に着目して,その計量のガウス曲率の評価を証明することで得られるのだが,今年度はこの結果を精密化して,ガウス写像の分岐情報が伴う場合のガウス曲率の評価を与えることができた。この結果を得ることで,完備性をもつ曲面のガウス写像の分岐定理の幾何学的意味を明らかにすることができた。また,この応用として,様々な曲面のクラスにおけるガウス写像の像の(アールフォースの意味での)島の定理を統一的に得ることができた。
もう1つは,ガウス写像の一意性定理についてである。複素平面上の有理型関数については,5つ以上の値で逆像が一致したとき,その2つの関数は一致するという「一意性定理」がネバンリンナによって証明されている。その結果のガウス写像に対応する結果を証明することができた。この結果から,完備極小曲面のガウス写像については,藤本坦孝氏が示した結果である「7」つ以上の値でガウス写像が一致するという結果や弱完備な非固有アファイン波面のラグランジアンガウス写像については「6」つ以上の値で一致するなどいった結果を統一的に導くことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年度で得られた結果の精密化および応用を与えることができ,この分野の研究の進展に大きな影響を与えることができた。

今後の研究の推進方策

今年度は最終年度であるので,これまで得られた結果を,より次元の高いユークリッド空間内の完備極小曲面のガウス写像の値分布論にも応用したいと考えている。また,向き付け不可能な場合の結果やブラウン運動への応用とした内容の研究にも着手したいと考えている。また,九州大学の小磯深幸氏と研究を進めている,非等方的平均曲率一定曲面のベルンシュタイン型定理や剣持-ワイエルシュトラス型表現公式の研究も進めていきたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

海外で開催される研究集会において研究発表するための旅費として使用する予定していたが、今年度はそのような機会がなかったので,その分の未使用額が生じた。
次年度は所属が山口大学から金沢大学に異動になったので,旅費や研究室の設備整備に使用する費用が当初の予定よりも多く必要になるので,その分に充てたいと考えている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 9件)

  • [雑誌論文] A ramification theorem for the ratio of canonical forms of flat surfaces in hyperbolic three-space2014

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 雑誌名

      Geometriae Dedicata

      巻: 171 ページ: 387, 396

    • DOI

      10.1007/s10711-013-9904-8

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] On the maximal number of exceptional values of Gauss maps for various classes of surfaces2013

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 雑誌名

      Mathematische Zeitschrift

      巻: 274 ページ: 1249, 1260

    • DOI

      10.1007/s00209-012-1115-8

    • 査読あり
  • [学会発表] 曲面のガウス写像の値分布2014

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      2014年度日本数学会年会幾何学分科会特別講演
    • 発表場所
      学習院大学
    • 年月日
      20140315-20140315
    • 招待講演
  • [学会発表] Function-theoretic properties for the Gauss maps of various classes of surfaces2014

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 学会等名
      The 2nd Japanese-Spanish workshop on Differential Geometry
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20140211-20140211
    • 招待講演
  • [学会発表] 曲面のガウス写像の函数論的性質について2014

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      微分幾何火曜セミナー
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20140114-20140114
    • 招待講演
  • [学会発表] 曲面のガウス写像の値分布論的性質の幾何学的背景について2013

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      研究集会「多様体上の微分方程式」金沢シリーズ第12回
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      20131122-20131122
    • 招待講演
  • [学会発表] Willmore予想について2013

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      セミナー
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20131115-20131115
    • 招待講演
  • [学会発表] On function-theoretic properties for Gauss maps of several classes of surfaces2013

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 学会等名
      「リーマン面・不連続群論」研究集会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      20131110-20131110
    • 招待講演
  • [学会発表] 曲面のガウス写像の値分布論的性質について2013

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      微分幾何学セミナー
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      20130712-20130712
    • 招待講演
  • [学会発表] Willmore予想とその解決法について2013

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      金沢大学数理学談話会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      20130515-20130515
    • 招待講演
  • [学会発表] 3次元球面内の曲面論の最近の進展について2013

    • 著者名/発表者名
      川上 裕
    • 学会等名
      九大幾何学セミナー
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      20130419-20130419
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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