研究課題/領域番号 |
24740046
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本多 正平 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (60574738)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Gromov-Hausdorr収束 / Laplacian |
研究概要 |
当該年度において,Gromov-Hausdorff位相に関するテンソル場のLp位相の定義とその基本的な性質を与えた.応用として,目標の一つであった,Bochner型不等式を得ることができた.また,Ricci limit space上でDirichlet Laplacianの明示公式を得ることができた.これはAlexandrov空間上における,Kuwae-Machigashira-Shioyaの仕事のRicci limit spaceバージョンと考えることができ,実際にDirichlet Laplacianを座標を使って計算できることを意味し,重要である.またLpエネルギーのコンパクト性定理を得ることができた.これはKuwae-Shioyaの仕事の一般化に対応し,例えば系としてCheeger-Coldingによる深谷予想の証明の簡潔なものを与えることができる.ほかの系としてp-Laplacianの第一固有値のGromov-Hausdorff位相に関する連続性を示すことができ,このことの系としてそのような固有値の上下からのboundを与えることができた.そのようなboundを与えることは,これまで種々の方法で様々な研究者が行っているが,収束理論を用いて与えたのはこれが初めてである.また,Gromov-Hausdorff位相に伴う,リーマン計量のLp弱収束性を示した.これにより,崩壊,非崩壊をリーマン計量の言葉で述べることが出来るようになり,このことは崩壊理論の新しい観点を与えている.その系として,次元の下半連続性を得ることができた.特に,任意のRicci limit space上の任意のtangent coneの次元は,もとの空間の次元を超えないことが従う.これも新しくわかった事実である.本結果はarXivにて,arXiv:1212.2052として公開されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度の大きな目標はRicci limit space上でBochner不等式を示すことであった.実際にはその不等式が自明に見えるくらいまでの枠組み(Gromov-Hausdorff位相に関するLp収束)を準備することで,実際にBochner不等式を示すことができた.その枠組みの副産物として,Dirichlet Laplacianの明示公式,Gromov-Hausdorff位相に関するリーマン計量のLp弱収束性,次元の下半連続性,Lpエネルギーのコンパクト性,p-Laplacianの連続性等を得ることができたため,当初の計画以上の発見があった.この枠組みの応用は今後さらに発展していく可能性が高いと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
現在まで元々の研究計画通りに研究が進んでいるので,その通りに今後も研究を進めていくが,それと並行して,当該年度で与えた,Gromov-Hausdorff位相に関するLp収束の枠組みの更なる応用を考えていく.例えば,スカラー曲率と収束理論との関わり等を調べる.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に旅費に使う予定である.理由は多くの研究者と議論をし,講演を聞くことで,最先端のアイデアを得,幅広い視野で研究を行うためである.
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