研究課題/領域番号 |
24740048
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安藤 直也 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50359965)
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キーワード | 4次元de Sitter空間 / 平均曲率ベクトル(が零である) / 共形Gauss写像 / Willmore曲面 / 主分布 / 光的な法ベクトル場 |
研究概要 |
幾つかの4次元空間における平均曲率ベクトルが零である空間的曲面の局所的な特徴付けを与えた。元々4次元de Sitter空間内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面(このような曲面は共形Gauss写像により3次元球面内のWillmore曲面とほとんど同一視される)を調べるつもりでいたが、まず実4次元空間型内の極小曲面について考察し、その結果を参考にして計量の符号が(3,1)である4次元空間型(Minkowski空間、de Sitter空間および反de Sitter空間)内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面について考察した。 実4次元空間型内の極小曲面で、内在的曲率が空間の一定断面曲率より小さいものを考える。今回特徴付けることができたのは、各点での主曲率が単位法ベクトルに依らない場合と、各点での主曲率が単位法ベクトルに依る場合である。前者については曲面の計量が満たすべき条件を求め、後者については曲面の計量および各点での主曲率の絶対値が最大である単位法ベクトル場に関する主分布が満たすべき条件を求めた。一方で、ある点での主曲率は単位法ベクトルに依らないがその任意の近傍には主曲率が単位法ベクトルに依る点が存在する場合が考えられ、今回はこのような場合を扱えなかったので今後の課題としたい。 計量の符号が(3,1)である4次元空間型内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面で、内在的曲率が空間の一定断面曲率に等しくならないものを考える。このような曲面の法ベクトル場として、各点で1次独立である二つの光的な法ベクトル場をとることができる。このような曲面の計量および光的な法ベクトル場に関する主分布が満たすべき条件を求めた。今後はWillmore曲面上に定義される正則4次微分と以上の研究成果との関係を詳しく調べたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
曲面の局所的な議論については今回の考察で今後の論点は大体見えたように思うが、研究実績の概要にも記したようにまだわかっていないことがある。また今までの局所的な議論を大域的な考察に生かしたい。
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今後の研究の推進方策 |
実4次元空間型内の極小曲面で内在的曲率が空間の一定断面曲率より小さいもののうち、今回扱うことができた各点での主曲率が単位法ベクトルに依らないものを3次元空間型内の全臍的曲面の類似物とみなし、各点での主曲率が単位法ベクトルに依るものを3次元空間型内の臍点を持たない曲面の類似物とみなすとき、主曲率が単位法ベクトルに依らない点が孤立している場合も有り得ると考えるべきである。3次元空間型内の曲面上のHopf微分が曲面の様々な情報を有していることに注意して、Hopf微分の類似物を実4次元空間型内の極小曲面上に見出したい。 Willmore曲面上に定義される正則4次微分の観点で、4次元de Sitter空間内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面を、内在的曲率に関する条件を課さずに調べたい。またMinkowski空間および反de Sitter空間内の同様の曲面上にも有益な正則4次微分を見出したい。 以前の研究で3次元空間型内の臍点を持たない曲面で内在的曲率が空間の一定断面曲率に等しくならないものの上の過剰決定系を考察し、特に計量と主分布によって一意に定まらない曲面の局所的な特徴付けを得た。また今回は実4次元空間型内の極小曲面で内在的曲率が空間の一定断面曲率より小さくかつ各点での主曲率が単位法ベクトルに依るものは、計量および各点で主曲率の絶対値が最大である単位法ベクトル場に関する主分布によって一意に定まることがわかった。実4次元空間型内のより一般の曲面についても調べたい。 3次元空間型内の曲面については計量とHopf微分の観点で、実4次元空間型内の極小曲面については計量とHopf微分の類似物の観点で、計量の符号が(3,1)である4次元空間型内の平均曲率ベクトルが零である空間的曲面については計量とある正則4次微分の観点で、それぞれ大域的な議論を行ないたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度中に使い切るよりも来年度分と合わせて使用した方が有効に使えると判断したため。 次年度も旅費を中心に使用する予定である。
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