4次元Euclid空間内の極小曲面で主曲率が単位法ベクトルの取り方に依らないものは2次元複素数空間内の複素曲線と合同であり、このような曲面を誘導計量およびある正則3次微分の観点で特徴づけた。この特徴づけは昨年度行なった上のような曲面の特徴づけの別表現である。この特徴づけに現れる正則3次微分は、複素曲線が一般の4次元超Kaehler多様体内のある複素構造に関するものである場合には、正則とは限らない複素3次微分であり、空間が平坦である場合に正則になりそして誘導計量との関係式が得られる。また2次元複素数空間内の複素曲線は、上の特徴づけに現れる正則3次微分の成分を q とするとき、2階線形方程式 f''+qf=0 に関するアファインSchwarz写像と2次元複素数空間の平行移動の合成による像と局所的に表されることがわかった。また球面Schwarz写像とはアファインSchwarz写像と3次元単位球面への射影との合成であるが、球面Schwarz写像がはめこみならば対応するアファインSchwarz写像による像の各点と2次元複素数空間の原点の距離を与える正値関数の観点で特徴づけられることがわかった。 また以前多様体上の多項式型の過剰決定系を調べたが、さらに詳しいことがわかった。系に現れる n が2以下の場合には主な論点を既に調べることができていたと考えていた。n=3 の場合に各点で値が異なる4つの解が与えられているとき、系が整合条件を満たすかどうかはこれらの4つの関数が決める。今回はこれら4つの関数を用いて整合条件を記述し、さらに各点で値が異なる3つの関数から作られるある1形式が零にはならない場合に整合条件を満たす第4の関数が存在し、この1形式が零にならない接ベクトルを持つ曲線上で与えられた値に応じてその第4の関数は一意に定まることがわかった。
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