研究課題/領域番号 |
24740049
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
入江 博 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (30385489)
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キーワード | トポロジー / Floerホモロジー / 旗多様体 / 対蹠集合 |
研究概要 |
1. 複素射影空間の中の第二基本形式が平行なラグランジュ部分多様体のシンプレクティックトポロジーに関しては、昨年度証明した複素射影空間の整係数1次ホモロジー群が 3-torsion である5次元と8次元のラグランジュ部分多様体のホモロジー的剛性の議論を整理し一般化した。その結果、複素射影空間のあるクラスのラグランジュ部分多様体について Floerコホモロジーの消滅定理を得た。これを利用して、複素射影空間の射影ユニタリ群PU(p)として埋め込まれたラグランジュ部分多様体の Floerコホモロジーを pが奇数の場合と pが2のべきの場合に明示的に与えた。これらの成果はプレプリント Symplectic topology of Lagrangian submanifolds of CPn with intermediate minimal Maslov numbers (arXiv:1401.0777)にまとめた。研究は現在も進行中であるが、まず pが残りの場合の解決を急ぎたい。 2. 複素旗多様体の実形の交叉と k対称空間の構造から定義される一般化された対蹠集合との関係に関する酒井高司(首都大学東京)、田崎博之(筑波大学)との共同研究については今年度は次の進展があった。複素ベクトル空間の偶数次元の部分空間の系列として得られる複素旗多様体の場合に、四元数部分空間の系列で定義される二つの合同な実旗多様体の交叉を明示的に与えた。特に、交叉が離散的な場合には一般化された対蹠集合になることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画に照らし合わせて、平成25年度は一定の前進があったが、実際は平成27年度に計画していた研究に関する部分が大きく進行している。こちらのほうが本研究課題の中での重要度が高いため、計画全体から見るとおおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年3月のチューリヒ工科大学(ETH)滞在中の議論が契機となり、複素射影空間の中の第二基本形式が平行なラグランジュ部分多様体のシンプレクティックトポロジーに関する研究が大きく進展している。この内容は当初平成27年度の研究実施計画であったが、本研究課題の中での位置づけでは最重要であるため、平成25年度と同様に今後の研究の予定を前倒しにして、この課題に集中的に取り組む予定である。 また、酒井高司(首都大学東京)、田崎博之(筑波大学)との複素旗多様体の実形に関する共同研究は継続中である。これまでの二つの例の考察から一般化への道筋が見えてきており、今年度も引き続き研究推進させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年3月6日~13日の台湾への成果発表での出張旅費が先方から全額支給され、その分確保しておいた経費が残ったため。 今年度は研究成果の発表その他で旅費の支出が多くなることが予想され、平成26年度の請求額では不足することが想定されたが、残った次年度使用額と合わせて研究の支障のない遂行が可能となった。また、研究計画の遂行にあたり研究関連の専門書の購入(計1~2冊)および研究のための事務用品等の購入を行う。
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