研究実績の概要 |
今年度は主に以下のような研究を行った. 1.ランダム媒質中のポリマーの自由エネルギー:前年度までにFrancis Comets, 吉田伸生,中島秀太らとともに零温度極限を調べたモデルについて、測度の集中に関する議論を改善して結果の適用範囲を拡大した。また対応する最速浸透問題の最適路の幾何学的性質を考察し、それが少なくとも非有界なジャンプを持つことを証明した。 2.ランダムな待ち時間分布をもつランダムウォーク:非対称なランダムウォークに位置に依るランダムな待ち時間分布を与えたモデルにおいて、それが大数の法則より遅い速度を持つ確率の挙動を久保田直樹氏と共同で研究した。結果は理想的な精度に至っていないものの、類似のモデルに対する先行研究より多様な状況が現れることは示せた。 3.Random walk in random scenery: 格子の各点に配置された確率変数をランダムウォークの路に沿って足し合わせたRandom walk in random sceneryについて、それが典型的な値から外れる確率をJean-Dominique Deuschel氏と共同で研究した。次元や分布に応じて挙動は大きく変わるが、とくに確率変数の分布が多項式減衰する末尾を持つ場合には全ての状況を網羅する結果を得た。
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