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2013 年度 実施状況報告書

再埋蔵的視点から見た閉曲面上のグラフの1-交差埋め込みに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24740056
研究機関新潟大学

研究代表者

鈴木 有祐  新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10390402)

キーワードグラフ / 閉曲面 / 1-交差埋め込み / 四角形分割 / 再埋蔵
研究概要

平成25年度には,Peter Eades教授のグループとの共同研究による結果をまとめた以下の論文が専門誌に掲載されている: A linear time algorithm for testing maximal 1-planarity of graphs with a rotation system, Theoret. Comput. Sci., 513 (2013) 65‐76. この論文の中では,n頂点極大1-平面グラフの辺数の最小値m(n)の上界と下界を与えるとともに,各頂点にローテーションが与えられたグラフが極大1-平面的グラフであるか判定する問題が多項式時間で解けることを証明している.
また,研究業績の概要(平成24年度)にも記載した通り,n頂点極大1-平面的グラフの辺数の下界を得ることを目的に,市松三四角形分割の構造を明らかにすべく研究を継続中である.(横浜国立大学の松本氏との共同研究である.)現在,ポジティブな結果は得られていないが,このクラスのグラフに対して適当と思われるいくらかの縮小操作を考案することができている.この研究においては,グラフ理論における従来の生成定理においてあまり議論されることのなかった「縮小操作(の)集合」に焦点を当て,有限の既約グラフを得るべく研究を行っている最中である.
上述のように「いくらかの縮小操作を用いて有限の既約グラフを得る」という視点に立ち,既存の閉曲面上のグラフの生成定理に関する結果をまとめ,慶応大学で開催された「第10回組合せ論若手研究集会」にて招待公演を行った.このような問題を考える際,縮小操作集合は極小であることが強く期待される.この研究の流れの中で,射影平面の多面体的四角形分割(射影平面の最適1-交差埋め込みと一対一対応)に対してもさらなる考察を行い,既約グラフを有限化するための6個の極小な縮小操作集合を特定した.この結果を年末に行われた応用数学合同研究集会(龍谷大学),3月に行われた日本数学会2014年度会で発表している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り海外の研究グループとの共同研究の結果を論文出版という形で発表できたことは,計画がおおむね順調であることの証拠になっている.それらの論文の中では,当初計画していなかった問題(極大1-平面的グラフの判定問題)の解決も行われており,1-交差埋め込みの構造がいっそう明らかになってきている.一方,横浜国立大学の松本氏との市松三四角形分割に関する共同研究は,前進しているものの未だ結果に結びついていない.当該研究期間中にこの問題を解決すべく,引き続き研究を継続していく予定である.しかし上述の問題を考える過程において,新たな視点から閉曲面上のグラフの生成定理を考え直しまとめ上げることができたことは1つの収穫である.既約グラフの有限性に着目して新たにいくらかの言葉・記号を定義したことにより,問題の見通しが良くなって多面体的四角形分割に対する研究もじわじわと進展している.閉曲面を射影平面に限定すれば,具体的な6個の縮小操作集合を特定することができており,このクラスに属するグラフの特徴をおおむね理解できてきているといっても過言ではない.それらの特徴を考慮しながら,今後,グラフの再埋蔵に関する研究も進展させていく.

今後の研究の推進方策

平成26年度は,射影平面上の最適1-交差埋め込みの再埋蔵に関する結果を得るべく研究
を開始する.まずは,申請書の研究計画にもある通り,有限の極小グラフの再埋蔵構造を決定する計算機プログラムを構築する.この際,横浜国立大学の石黒氏との共同研究の結果である「三角形分割判定プログラム」を改良していくことによって,我々の目的のプログラムを得ることができると考えている.次に,極小グラフを得るために用いた各縮小操作に対して,「その縮小操作の逆操作が埋め込みの総数を増やさない」という主張を証明したい.ほとんどの縮小操作に対して上述の主張が成り立つものと予想しているが,最近,(6個の縮小操作集合の中に)その反例となる縮小操作が少なくとも1つ含まれていることが分かった.現在,この縮小操作だけは特別処理することにより問題を解決できると期待している.
これと並行して,一般の閉曲面上の最適1-交差埋め込みの極小グラフのリストを得るべく,もしくは構造を明らかにすべく,上述の既約グラフを有限個にする極小な縮小操作集合を決定していく.しかし考察を深めていく過程において,上述の(射影平面の既約グラフを得るために使用した)6個の縮小操作集合はトーラス上でさえ既約グラフを有限にできないことが分かってきている.具体的な問題として,あとどのくらいの縮小操作を追加することにより,トーラス,さらには一般の閉曲面上の既約な最適1-交差埋め込みを有限個にすることができるかを考えていきたい.また,それらの縮小操作集合の極小性に関しても厳密な議論を行っていく.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度分だけを見るとほぼ申請額と同額を使用している.平成24年度から平成25年度に発生した次年度使用額(B-A)に関しては本年度,もしくは次年度に適切な形での使用を計画している.
引き続き,必要に応じてグラフ理論関連・計算機関連の書籍を購入し,情報を収集していく.また,1-交差埋め込みの再埋蔵を決定するためのプログラムを構築するため必要となるソフトウエア(Micro soft ,Visual studio)も計上する.また,以下の国内出張費を計上する:Japan Conference on Graph Theory and Combinatorics(日本大学 5月),RIMS共同研究(京都大学数理解析研究所 9月),日本数学会秋季総合分科会 (広島大学 9月),26th Topological graph theory(横浜国立大学 11月),応用数学合同研究集会(龍谷大学 12月),日本数学会年会(明治大学 3月(2015年)),その他の共同研究,セミナー参加等.また,今年度は研究代表者主催の研究集会(離散数学とその応用2015)を新潟にて開催予定である.これに伴う会場利用費・設備費などのうちいくらかを計上したい.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A linear time algorithm for testing maximal 1-planarity of graphs2013

    • 著者名/発表者名
      P. Eades, S. Hong, N. Kato, G. Liotta, P. Schweitzer, Y. Suzuki
    • 雑誌名

      Theoretical Computer Science

      巻: 513 ページ: 65-76

    • DOI

      10.1016/j.tcs.2013.09.029.

    • 査読あり
  • [学会発表] Cube-contractions in 3-connected quadrangulations on surfaces

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Suzuki
    • 学会等名
      The Sixth Workshop Graph Embeddings and Maps on Surfaces
    • 発表場所
      Smolenice castle, Slovakia
  • [学会発表] Cube-contractions in 3-connected quadrangulations

    • 著者名/発表者名
      鈴木 有祐
    • 学会等名
      離散数学とその応用研究集会2013
    • 発表場所
      山形市保健センター・視聴覚室
  • [学会発表] Cube-contractions in 3-connected quadrangulations

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Suzuki
    • 学会等名
      The 25th Workshop on Topological Graph Theory in Yokohama
    • 発表場所
      Yokohama National University
  • [学会発表] 多面体的四角形分割に対する減少操作について

    • 著者名/発表者名
      鈴木 有祐
    • 学会等名
      応用数学合同研究集会
    • 発表場所
      龍谷大学 瀬田キャンパス 1号館
  • [学会発表] 閉曲面上のグラフの生成定理について

    • 著者名/発表者名
      鈴木 有祐
    • 学会等名
      第10回組合せ論若手研究集会
    • 発表場所
      慶應義塾大学矢上キャンパス 14棟 創想館2階14-203番教室
    • 招待講演
  • [学会発表] 多面体的四角形分割に対する縮小操作について

    • 著者名/発表者名
      鈴木 有祐
    • 学会等名
      日本数学会2014年度会
    • 発表場所
      学習院大学 目白キャンパス

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公開日: 2015-05-28  

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