研究課題/領域番号 |
24740057
|
研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
佐久間 紀佳 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (70610187)
|
キーワード | 無限分解可能分布 / ランダム行列 / 自由確率論 |
研究概要 |
2013年7月にポーランド・ブロヅワフ大学で行われたLevy2013で招待講演をおこなった。これはレヴィ過程および無限分解可能分布に関する研究を行っている研究者が主催する100人以上の参加者が毎回ある研究会である。講演ではこの研究課題の期間前半に遂行した研究結果についてのまとめを講演した。また国内での無限分解可能分布に関連する研究会で発表を行った。この発表で成分に従属性をもつランダム行列モデルに対して自由確率論的手法による解析の結果を報告した。 本年度は自由無限分解可能分布のモードについての研究を行った。自由無限分解可能分布について幾人かの研究者がどのクラスで単峰性をもつかを示しているが、時間発展を込めた研究はほとんど行われておらず、そこからスタートし、いくつかの例を共同研究者らと論文としてまとめている。またある種のクラスにすると時間発展の下で単峰性がたもたれるであろうことも発見された。また自由無限分解可能分布でPoint massを持つケースについて、その詳細な情報がわかった。 また自由確率論ではなく単調確率論、Boolean確率論に動機をもつ単調安定分布やBoolean安定分布の単峰性も確認した。これは確率論や自由確率論とはことなる結果となることを発見した。確率論、自由確率論では安定分布とよばれる分布のクラスはすべての分布が単峰である。しかし今回のケースでは単峰にならないときが存在する。また逆に単峰になるときもあることがわかった。これらはあるパラメータを動かしていくとその性質が変わる点があることもわかった。いままで安定分布のクラスを考えた時、それぞれの確率論で分布の台の性質が異なっていることはわかっていたが、あらたにモードの違いもあることがわかったことになる。これらについて共同研究者とまとめ、論文として投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での研究テーマである自由レヴィ過程の分布の性質について1次元のケースは時間発展の下での情報も分布の台、単峰性等ずいぶんわかったきた点で順調に進展している。 確率論における1次元レヴィ過程の分布について知られている情報にかなり近づいてきている。したがって古典、自由双方での比較がより多くできるようになり、どこが類似でどこが異なっているかが細かく見えてきた。また単調、Boolean独立性に基づく別の確率論の世界ともどう分布の性質が異なるか少しずつ見えてきた。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度は25年度Polandで行われた"Levy 2013"で議論した研究者らと研究打ち合せを継続するため、1週間Polandで開催される国際集会"16th WORKSHOP: NON-COMMUTATIVE HARMONIC ANALYSIS: Random Matrices, representation theory and free probability, with applications"へ参加する。そこで25年度議論したメンバーやArizmendi OctavioやTakahiro Hasebeと議論を行う。 メキシコCIMATを訪問しVictor Perez-Abreu氏と通信理論に動機を持つランダム行列モデルと自由確率論の交錯する部分についての議論を行う。また現地でセミナー発表する。 昨年度見つけた新しい結果を発表するために確率論シンポジウム等、国内の確率論関係の研究会に参加し発表および討議を行う。 また予想以上に分布の時間発展に関連する結果が明確にわかってきており、またそれに関連する解析的手法も発展してきたので、その点について先ず取り組む。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度購入予定をしていた数式処理ソフトを変更したため。 26年度は旅費としてお茶の水女子大吉田裕亮教授およびメキシコCIMATのVictor Perez-Abreu, Octavio Arizmendiを訪問し、セミナーおよびいくつかの自由確率論に動機をもつランダム行列モデルの討論を行う。 また繰り越し部分を25年度購入したソフトウエアMathematicaの補助サービス料に当てる。
|