研究課題
本年度は昨年度に引き続きMAモデルを要素にもつランダム行列の研究を行った。お茶の水大学へ出張し、吉田裕亮氏およびその学生と「MAモデルを要素に持つランダム行列のスペクトル分布のサイズ無限大極限」についての研究を進めた。 今までのランダム行列モデルは行列の横方向の成分間では従属性があり、行列の縦方向の成分間では独立であるモデル考えていた。それを縦横両方向の成分間に従属性があるようにモデルを変形し、今までの結果の拡張を行った。また、数値計算の結果と極限分布のモーメントを比較し、調べるなかで幾らか誤差が出ていた。それは自由確率論における2次の摂動で理論的に説明できることに気がついた。これは行列のサイズがかなり小さくても、その摂動がはっきりと観察された。これらの結果をまとめた論文を作成中である。また、この結果をポーランドで行われた国際学会で発表をした。京都大学のブノワ・コリンズ氏、北海道大学長谷部高広氏との議論のなかで平成25年度に行った長谷部氏との研究でわかった自由レヴィ過程の分布の台の下限の時間発展の結果が量子情報において応用ができそうだとういうことに気がついた。そのためその方向の討議を始めた。メキシコのCIMATを10月に訪問した。そこでOctavio Arizmendi氏とVictor Perez-Abreu氏と討議及びセミナー発表を行った。討議の中でMarkov変換によるGeneralized Gamma Convolutionと呼ばれる無限分解可能分布のサブクラスを特徴付ける測度の変換の公式を見つけた。その結果について11月統計数理研究所で発表も行った。またVictor Perez-Abreu氏との討議の中で我々のモデルを作用素値自由確率論を用いて拡張できないか、が提案された。それによりさらなる従属性を持ったランダム行列のスペクトル分布の研究を進めている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Demonstr. Math.
巻: 未定 ページ: 未定
統計数理研究所共同研究リポート350, 無限分解可能過程に関連する諸問題 (19)
巻: 350 ページ: 96-102
http://auemath.aichi-edu.ac.jp/~sakuma/