真正粘菌変形体は巨大な単細胞生物である.餌を求めてその先端を広げていくという性質を持っており.周辺環境の情報を受け取り自らの振る舞いを変化させることができる.例えば,移動している先端が壁に触れたときは数分で他の箇所が新たな先端として動き出す.これは粘菌が片側からもう片側へ情報を伝達したかのようにみえるが,彼等に神経系は存在しない. この情報処理機構を解明するため,我々は広がっていく粘菌の数理モデルを構築した.このモデルにより方向転換を含む様々な粘菌の振る舞いを再現することができ,圧力を「情報」として用いる事により方向転換を実現できるという解釈ができることがわかった.
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