研究課題/領域番号 |
24740068
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
鈴木 一弘 高知大学, 教育研究部自然科学系, 助教 (50514410)
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キーワード | グラフ理論 / 辺着色 / 全域木 / 異色全域木 / BH予想 / 離散幾何学 / 次数和 / 分割 |
研究概要 |
本年度は、次数和を指定した異色全域木についての研究と、元が着色された集合の均質な分割についての研究を行った。 1. 辺着色(辺彩色に限らない一般の着色)された完全グラフに"全ての辺の色が異なる"全域木があるとき、それを異色全域木と呼ぶ。1996年にBrualdiとHollingsworthは「2n-1色で辺彩色された2n頂点の完全グラフはn個の辺素な異色全域木に分解できる」と予想した。この予想が仮に正しければ、1つ1つの異色全域木はstarにはならず、最大次数は2n-1よりずっと小さいはずである。そこで、次数を制限した異色全域木の存在に興味が沸き、次の定理を証明した。「Gをn頂点辺彩色完全グラフ、kを整数(2≦k≦n-2,またはk=n)、x,yをGの異なる2頂点とすると、Gにはxとyの次数和がkとなるような異色全域木が存在する。」 2. 本研究課題は着色された集合に潜む性質を研究するものである。着色集合に関する定理の証明に数学的帰納法を用いる場合、もとの集合を着色条件が変わらないように均質に分割する必要がある。本研究では、着色集合の元を横一列に並べた着色点列の均質分割に関して次の補題を得た。「着色点列Xの始点と終点が同色で、どの色の点の数も|X|/2の切り上げ以下であれば、ある左右二分割X=D1∪D2が存在し、着色点列Diの各色の点の数が|Di|/2の切り上げ以下となっている。」この補題の副産物として、離散幾何学における2色点集合上の交互完全マッチングや交互全域木の定理を3色以上の点集合に対して拡張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次数和制限、着色集合の分割という、新たな着眼点を得たという点で順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も前年度に引き続き主に次の課題およびそれに関連した課題を研究する。 A.異色全域木の既存の定理を(g,f)-異色全域木に関する定理に拡張する。 B.他の異色部分グラフについても既存の定理を拡張する。 C.一般化BH予想の部分的解決を図る。 D.その他、着色集合に関する研究。
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次年度の研究費の使用計画 |
H.25年度は、研究のための重要な道具として壁面ホワイトボードを購入することにし、その費用を見積もって前倒し申請をしたが、想定より安く購入できたことによる。 ホワイトボードの費用を前倒し申請することで、次年度以降の文献購入費用や共同研究・研究発表のための出張費用を減額することにしていたので、その分に充てる。
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