研究実績の概要 |
(1)全ての辺の色が異なる部分グラフを異色部分グラフと呼ぶ。本研究では、異色部分グラフの一般化として(g,f)-異色部分グラフを定義し、一般の辺着色グラフに(g,f)-異色全域林が存在するための必要十分条件を発見した。gとfを色集合Cから非負整数集合への関数とする。どの色cの辺数もg(c)本以上f(c)本以下であるような部分グラフを(g,f)-異色部分グラフと定義する。色集合Cの色で辺着色されたn頂点グラフGにm個の連結成分からなる(g,f)-異色全域林が存在するための必要十分条件は、任意の色c∈Cについてg(c)≦f(c)であり、m≦n-Σ(c∈C)g(c)を満たし、さらに、任意の色集合R⊆Cについて、Rに含まれる色の辺を元のグラフGから全て除去したグラフの連結成分数が高々min{m+Σ(c∈R)f(c),n-Σ(c∈C-R)g(c)}個となることである。 (2)最大次数を抑えた異色全域木の研究を行い次の定理を得た。「Gをn頂点辺彩色完全グラフ、kを整数(2≦k≦n-2,またはk=n)、x,yをGの異なる2頂点とすると、Gにはxとyの次数和がkとなるような異色全域木が存在する。」 (3)着色された集合の元を横一列に並べた着色点列を均質に分割する研究を行い、次の補題を得た。「着色点列Xの始点と終点が同色で、どの色の点の数も|X|/2の切り上げ以下であれば、ある左右二分割X=D1∪D2が存在し、着色点列Diの各色の点の数が|Di|/2の切り上げ以下となっている。」この補題を用いて、離散幾何学における2色点集合上の交互完全マッチングや交互全域木の定理を3色以上の点集合に対して拡張した。 (4)異色全域木の既存定理を拡張し、5頂点以上の(0,f)-辺彩色完全グラフには辺素な2つの(0,f)-異色全域木が存在することを示した。 (5)二部グラフに全域k木が存在するための条件を発見した。
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