研究課題/領域番号 |
24740069
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
宮田 庸一 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (10514250)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ベイズ統計学 / 統計的漸近理論 |
研究実績の概要 |
ベイズ型情報量規準を導出するためには、周辺尤度と呼ばれる積分で表される量をラプラス近似を用いて近似する必要がある。2012年、2013年においては、真のパラメーターがパラメーター空間の内点であるという想定の下で漸近的に高次の項を持つラプラス近似を導出していた。しかし実際のデータ解析を行う場合、観測ベクトルを生成するモデルと推定に用いる統計モデルが異なる場合において、周辺尤度に対する近似の妥当性を議論することが重要であることが分かった (例えばLv and Liu 2014 Journal of the Royal Statistical Society Series B 76, 141-167)。 このため本年度は統計モデルが誤特定された(misspecified)状態の下で、周辺尤度に対する高次の項を持つラプラス近似が妥当性を持つための条件を明らかにした。この条件は2013年に与えた条件をさらに一般化した形になっている。 さらに誤特定された一般化線形モデル(GLM)を用いたときのラプラス近似が妥当性を持つための条件は、Lv and Liu (2014)の条件にパラメーターの事前分布に関する滑らかさの条件を加えた形で与えられることを明らかにした。 現在、提案するベイズ型情報量規準とAIC(Akaike Information Criteria)、BIC(Bayesian Information Criteria), Lv and Liu (2014)のGBIC(Generalized BIC)およびGBICpとの比較をモンテカルロシミュレーションを用いて行うため、プログラムコードの作成をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、漸近的に高次の項を持つベイズ型情報量規準の理論的、数値的妥当性の確認を終え、具体的なモデルへの応用という段階に入っている、もしくは終えている予定であった。 しかし実際には、ラプラス近似の妥当性を保障するための条件の導出に多くの時間を費やしてしまった。このため、具体的なモデル(誤特定された一般化線形モデル)への応用、および数値的な検証に現在入ったばかりである。これらの理由より、現在達成度はやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
下記の(1)~(2)を行う。 (1) シミュレーションを行うことで、一般化線形モデルにおける高次の項を持つベイズ型情報量規準と他の情報量規準の数値的な比較を行い、論文の作成を行う. (2) Joint Statistical Meeting (August 8 - 13, Seattle, Washington)において口頭発表を行い、広く意見を収集する。しかし論文作成に時間を費やすため、その他の学会発表は可能な限り控える。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度もシアトルで開催されるJoint Statistical Meeting (JSM)に参加し、研究成果を発表することを予定している。さらに機会があればJSMで開催される有料のセミナーにも参加することを考えている。 しかし平成27年度は旅費を少なめに申請していたこと、および円安の影響からも多めに旅費を準備しておきたいと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年8月に開催されるJoint Statistical Meeting (JSM)に参加するための旅費、参加費、セミナー参加費に充てる。
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