研究課題/領域番号 |
24740071
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
池田 幸太 明治大学, 総合数理学部, 講師 (50553369)
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キーワード | 応用数学 / 関数方程式論 / 自己組織化 / リーゼガング現象 |
研究概要 |
枝分かれ構造の形成は様々な現象に見られる。リーゼガング現象に代表される微粒子沈殿帯の動的なパターン形成においては、同心円状に広がる沈殿パターンが安定的に観測される。一方、同様の実験で条件を変えると、同心円状のパターンがバンド方向に不安定化する場合もある。実はリーゼガング現象は反応拡散方程式系によってモデル化されているため、本研究の目標である界面の不安定性を示すことが、現象の解析にとって重要な役割を果たすのである。また、化学反応系の現象であるので、モデルにおけるパラメータを実験によって推定可能であり、モデルと現象の対応関係を詳細に調べることが可能である。このような背景から、リーゼガング現象における界面の安定性を調べることは、本研究において重要な役割を果たす。 実は、これまでに先行研究で提唱された方程式では、バンドパターンに対応する解は安定的に表れることが知られている。そのため、バンドパターンの不安定性を考えるには新たなモデルが必要である。そこで、共同研究者である大阪大学の伴氏によって新たなモデルが提案された。2013年度の研究では、この新たなモデル方程式を考え、同心円のバンドパターンに対応する解や、バンドパターンに不安定化が起こることを、数値計算によって確かめることができた。バンドパターンの不安定性が表れる、新たなモデル方程式を提唱できたという点において、研究実施計画上重要な結果が得られたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に対応する反応拡散モデルにおいて、界面不安定性が確認できたという点においては、研究の対象を絞ることにつながるため、研究の推進に重要な役割を果たすと言える。ただし、この方程式における詳細な解析は今後の課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後行う研究としては、リーゼガング現象におけるバンドパターンの解を構成する。その後、高次元空間における安定性解析を行い、不安定化のメカニズムを明らかにする。解析が完了した後、実験との対応関係を共同研究者である大阪大学の伴氏と行い、解析結果と現象の対応関係について調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度中に、2014年度開催予定の海外での学会発表を複数依頼された。その数が当初予定数を超えたため、2013年度予算を2014年度予算に繰り越す必要性が生じた。 2013年度の繰り越し額は、海外での学会に参加するための出張費用として使用することを予定している。
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