例えば肺の上皮組織やすす燃焼において、枝分かれ構造を伴った形態形成が観察される。この枝分かれ構造は、初期過程における一様状態が枝分かれした後にダイナミックな遷移過程を経て、自己組織的に形成される。この現象を数理的に理解するため、初期時刻で平面的な状態が不安定化することを確認する必要がある。この事実は既に、反応拡散方程式系における進行波解の線形安定性解析を通じて確認済みである。 枝分かれ構造を伴う現象として知られるすす燃焼は、近年工学的な立場から実験と理論の両面から特に解析が進んでいる現象である。この現象においても一様な界面の不安定化によって枝分かれ構造が現れる。ここで重要なのは、分岐点と物理的なパラメータの関係性を明らかにすることである。そこで共同研究を通じて、実験と理論の関係性を調べることにした。これによって、様々な条件下で実験を行うことができるので、理論的な結果の有効性を確かめたり、新たな現象の発見を行うことが出来ると期待している。今年度は実験系の構築を行うことに成功した。実際に実験を行い、既存の研究で知られているように、2次元的な時空間パターンが出現することが確認できた。これによって、モデル方程式と実験の関係性を詳しく調べることができると期待する。
|