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2014 年度 実施状況報告書

閉路や木構造の存在を保証する不変量に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24740074
研究機関近畿大学

研究代表者

山下 登茂紀  近畿大学, 理工学部, 講師 (10410458)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードハミルトン閉路 / 次数和条件
研究実績の概要

1.数年前,小関健太氏(国立情報学研究所)と私は,ハミルトン閉路が存在するための「位数,連結度,独立数を含んだ次数和条件」に関して,次数和をとる頂点数を2頂点,3頂点,4頂点としたとき,その最良の下限は,公差が"独立数-1"の等差数列をなすという規則性を発見した.この規則性は5頂点以上の次数和条件に関しても成立すると予想した.さらに,ハミルトン閉路の一般化である閉路に対しても同様な規則性があることも予想した.
(1) 平成25年,千葉周也氏(熊本大学),古谷倫貴氏(東京理科大学),小関氏,津垣正男氏(東京理科大学非常勤講師)と共同研究を行い,ハミルトン閉路に対する予想は正しいことを示した.平成26年,論文としてまとめ,国際雑誌に投稿した.
(2) ハミルトン閉路の一般化である閉路に対する予想を証明するとき,各一般化に対する最適な閉路に対して,それを取り除いたグラフが非連結か連結か2連結かで状況は大きく異なる.それらのグラフに対する性質を調べる研究を,小畑久美氏(近畿大学),田澤新成氏(近畿大学名誉教授)と共同研究を行った.
2.指定された頂点集合を葉とする全域木に関する結果は,指定された辺集合の辺を含む閉路や指定された頂点集合の頂点同士を結ぶ道に関する結果から導かれる.そこで,当初の研究計画を少し修正して,これらの研究を行った.
(1) 千葉氏との共同研究で,指定された頂点集合の頂点をちょうど1頂点ずつ含む閉路でグラフを分割するための次数和条件の研究を行った.この研究により,閉路が存在するための次数和条件と閉路が指定された頂点を含むための次数和条件に明確な違いがあることが分かった.
(2) 松原良太氏(芝浦工業大学)と松村初氏(茨城大学)との共同研究で,一般のグラフと2部グラフにおいて指定された頂点集合の頂点同士を結ぶ複数の道でグラフを分割するための次数和条件に関する研究を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.申請時に計画していた「指定された長さ以上の閉路が存在するための4頂点次数和条件に関する研究」に対し,津垣氏と千葉氏との共同研究で,ハミルトン閉路の4頂点次数和条件の下限と一致することを示し,論文として完成させた.
2.申請時に掲げていたハミルトン閉路が存在するための次数和条件に関して,その最良の下限は公差が「独立数-1」の等差数列をなすという予想を津垣氏,小関氏,千葉氏,古谷氏と共同研究で解決し,論文として完成させた.
3.指定された辺集合の辺を含む閉路に関する研究に取りかかる前に,指定された頂点集合の頂点を含む閉路に関する研究を,千葉氏との共同研究で行った.現在,証明の精査および論文作成中である.
4.一般のグラフと2部グラフにおける指定された頂点集合の頂点同士を結ぶ道に関する研究を,松原氏と松村氏との共同研究で行った.現在,グラフを分割するのではなく,単に,それらを含むための次数和条件についての研究を行っている.

今後の研究の推進方策

1.千葉氏と行っている指定された頂点集合の頂点をちょうど1頂点ずつ含む閉路に関する結果の証明を精査し,この研究を足がかりに,指定された辺集合の辺を含む閉路に関する研究に取りかかろうと考えている.そのため,この共同研究をこのまま継続する予定である.
2.松原氏と松村氏と行っている指定された頂点集合の頂点同士を結ぶ道を含むための次数和条件について研究を引き続き行う予定である.すでに,この研究に関していくつかの成果を得ている津垣氏にも共同研究に参加してもらおうと考えている.この研究は,2部グラフのハミルトン性の研究と関係がある.そして,2部グラフのハミルトン性の研究は,有向グラフのハミルトン性の研究と関係がある.これらの研究結果の対応関係に注目した研究を行っていくつもりである.
3.ハミルトン閉路の一般化である閉路に関する研究には,連結グラフと2連結グラフに関する性質の調査が必要不可欠である.これに関して小畑氏と田澤氏と引き続き共同研究する予定である.この研究は,グラフの数え上げに対する応用がある.
4.最近,小田芳彰氏(慶應義塾大学),中本敦氏(横浜国立大学),渡辺守氏(元・倉敷芸術科学大学)と共同研究している数列の均等配置に関する問題が超グラフのハミルトン性の問題と同値であることがわかった.様々なクラスでのハミルトン閉路の研究を同時に行うことは一般のグラフのハミルトン閉路の研究にも大いに役立つと考える.超グラフのハミルトン性についても調査・研究を行っていく予定にしている.

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた3月20日~22日の日本数学会の出張を3月21日~22日に変更した.年度末の変更であったため,返金という形を取ったため.

次年度使用額の使用計画

3月21日~22日の日本数学会の出張として申請する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Spanning k-trees of Bipartite Graphs2015

    • 著者名/発表者名
      Mikio Kano, K.Ozeki, K.Suzuki, M.Tsugaki and T.Yamashita
    • 雑誌名

      Electron. J. Combin.

      巻: 22 ページ: -

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Closure and spanning k-trees2014

    • 著者名/発表者名
      R.Matsubara, M.Tsugaki and T.Yamashita
    • 雑誌名

      Graphs Combin

      巻: 30 ページ: 957-962

    • DOI

      10.1007/s00373-013-1314-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Degree sum conditions for the circumference of 4-connected graphs2014

    • 著者名/発表者名
      S.Chiba, M.Tsugaki and T.Yamashita
    • 雑誌名

      Discrete Math.

      巻: 333 ページ: 66-83

    • DOI

      10.1016/j.disc.2014.06.012

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ハミルトン閉路が存在するための次数和条件2014

    • 著者名/発表者名
      千葉 周也, 古谷 倫貴, 小関 健太, 津垣 正男, 山下 登茂紀
    • 学会等名
      離散数学とその応用研究集会
    • 発表場所
      新潟総合テレビゆめディア(新潟県)
    • 年月日
      2014-08-21 – 2014-08-21

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公開日: 2016-06-01  

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