研究課題/領域番号 |
24740075
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
茨木 貴徳 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90345439)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 距離射影 / タイプ(P)型写像 / 極大単調作用素 / 不動点近似法 / 近接点法 / バナッハ空間 |
研究概要 |
本研究の目的は, バナッハ空間における非線形射影, 特に距離射影に関連する近接点法の解明を行うことで, 本年度の研究実施計画の第一は「タイプ(P)型写像の不動点近似法に関連する性質の解明」第二は「近接点法で新しい点列の構成方法の考察」である. タイプ(P)型写像の解明は難解であるので多角的な視点で考察を行う必要がある. タイプ(P)型写像は, 研究代表者がこれまで研究を行なってきたタイプ(R)型写像と呼ばれる写像との間に恒等写像との差を取ることで裏表の関係にあることが知られている. それゆえ, 今年度はタイプ(R)型写像の視点から考察を行った. タイプ(R)型写像の定義にはノルムを利用した非負値の2変数関数を利用しているが, この関数の代わりにノルムより一般的な凸関数を用いたブレグマン距離の概念を用いて再定義を行った. そして, このクラスを含む写像に関しての不動点近似法の考察・研究を行い結果を得ることができた. 関数のクラスを抽象化することで不動点近似法に必要な写像の性質を浮き彫りにすることができた. これは表裏の関係にあるタイプ(P)型写像の不動点近似法に必要な性質の解明の一部と捉えている. また, 今回の研究成果では不動点近似法としてはMann型の点列構成を利用した. この成果によりMann型の点列の構成方法を利用した近接点法の考察も行うことができた. また, 国際会議や国内の研究集会に参加することで, 関連する研究分野の研究者と広く議論することで近接点法の点列の構成方法に関する考察を行うことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点において, 研究の達成度は「おおむね順調に進展している」と評価できる. その理由は「研究実績の概要」にある通り, 当初の計画にあるとおり本年度の実施計画に沿って研究成果を得たことにある. 第一の計画の「タイプ(P)型写像の不動点近似法に関連する性質の解明」はタイプ(P)型写像と表裏の関係にあるタイプ(R)型写像に関する性質の解明が進んだ. タイプ(P)型写像の直接的な考察は残されている課題ではあるが, 直接の解明は難解であるがゆえ外堀から埋めて行くように徐々に解明を進めて行く必要がある. その観点でみると一定の進捗が見られていると言える. 第二の計画の「近接点法で新しい点列の構成方法の考察」はMann型の点列の構成方法で不動点への弱収束定理を得たことで, 類似点が多い近接点法の点列の構成方法の考察が行えたことである. 実際に, Mann型の近接点法に関しても一定の進捗は見られており次年度以降に研究成果が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続きバナッハ空間における距離射影に関連する近接点法の解明を行うことである. 平成25年度の計画としては第一に「タイプ(P)型写像に関する近接点法の多角的な視点からの考察」第二に「タイプ(P)型写像の不動点近似法に関する性質の解明」第三に「不動点近似法の理論構築」である. 第一の計画に関しては平成24年度に得られたブレグマン距離を用いたタイプ(R)型写像の不動点近似法の結果を活かして, 関連した近接点法の研究を行う. 前年度の研究でMann型の点列の構成方法の考察が進んでおり, その成果を活かして近接点法の研究を進めて成果を得ることを目標とする. 第二、第三の計画だが, 近似理論には Mann型, Halpern型, ハイブリッド型, 縮小射影型等多くの点列の構成方法がある. 距離射影に関連する近接点法では ハイブリッド型, 縮小射影型に関してはある程度の解明が進んでいる. それゆえ, まずは比較的解明が進んでいるハイブリッド型, 縮小射影型の考察を足ががりに考察・研究を進めて行くつもりである. さらに, 平成25年度も前年度に引き続き国際会議及び国内の研究集会に積極的に参加し研究成果の発表を行う. その際には, 関連分野の国内外の研究者たちと幅広く意見交換および情報収集をおこなう予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に旅費に使われる. 平成25年度に参加を予定しているの主な会議は7月にトルコで開催される非線形解析学の国際会議, 8月に青森で開催される非線形解析学と凸解析学の国際会議, 10月に京都で開催される非線形解析学と凸解析学の研究集会である. その他, 関連書籍の購入, 論文の投稿料・別刷代等にも使う予定である.
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