研究課題/領域番号 |
24740076
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
篠原 雅史 滋賀大学, 教育学部, 講師 (70432903)
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キーワード | 距離集合 / 離散幾何 / 部分構造 / Ramsey number |
研究概要 |
1. 宗政昭弘氏と共同でcomplementary Ramsey number (c-Ramsey)に関する研究を行った。c-Ramsey は通常の Ramsey number の定義に出てくるクリーク数を独立数に読み替えて定義されるものである。定義自体は自然なものであるが、我々の知る範囲でこのことに関する研究報告はなく、新しい成果が数多く得られた。特に、組合せデザイン理論など他の組合せ論との関係性が得られ、そこから無限個のパラメータに対する c-Ramsey を決定できる。このことは、通常の Ramsey number の研究の新しいアプローチとしても有益なものであると考える。また、ある種のc- Ramsey が決定されると、「n-point k-distance set は必ず m-point k'-distance set (k'<k) を含む。」といった Ramsey 型の定理が得られる。(大雑把に言えば、c-Ramsey number の値を考えることは、上のm,kが与えられたとき、nをどのくらい大きくすれば十分か、ということを考えることに対応している。)これは、本課題研究に挙げていた「部分集合に着目した点配置の研究」において明らかにしたかったことの一つである。c-Ramsey の研究は、空間の配置の幾何構造を忘れ、組合せ構造のみに着目したものであるが、その中に幾何構造についての情報をどれだけ影響させられるかは今後の課題である。 尚、本研究成果について、離散数学とその応用研究集会(山形)や応用数学合同研究集会(龍谷大学)などで講演を行い、現在投稿準備中である。 2. Petersen graph の 2-距離集合としての4次元球面への埋め込みの構造を決定し、研究会直観幾何学(熊本大学)で講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要でも述べたが、complementary Ramsey number に関する研究結果は、本研究課題において、明らかにしたかったことの1つであった。
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今後の研究の推進方策 |
Einhorn-Schoenberg (1966) の予想「3次元空間の12点3-距離集合は正二十面体の12点に限られる」の精度保証付き証明について考えていきたい。そのためには、ある部分空間の直径の評価がポイントになってくるものと思われる。 また野崎寛氏との共同研究である、非球面上の距離集合についても、研究成果のまとめに入りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度・次年度ともに一回の海外出張を予定していたが、当該年度の海外出張分を次年度分の海外出張分にするため。 次年度の海外出張のうち、上海への海外出張分へあてる。
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