研究課題/領域番号 |
24740078
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研究機関 | 公益財団法人九州先端科学技術研究所 |
研究代表者 |
安田 貴徳 公益財団法人九州先端科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (00464602)
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キーワード | 公開鍵暗号 / ポスト量子暗号 / 多変数多項式公開鍵暗号 |
研究概要 |
多変数多項式公開鍵暗号は量子コンピュータに耐性を持つと期待されているだけでなく、処理効率も良い暗号であり、次世代暗号の候補の一つと目されている。しかし、鍵長がRSA暗号などに比べて大きいことが問題であり、ICカードのような低資源デバイスへの実装の弊害となりかねない。本研究課題の目的は多変数多項式公開鍵暗号の鍵長を安全性を下げることなく、軽減することである。そしてその手段として非可換環を利用するというものである。平成25年度の研究では多変数多項式公開鍵暗号の鍵長削減方式を検討し、それの、安全性、処理効率を解析した。前年度までに提案していた非可換環を用いた多変数多項式公開鍵暗号方式をもとに、非可換環を用いない構造にまで一般化し、安全性、鍵長、処理効率を解析した。安全性に関しては既存の攻撃法の計算量を低下させないようにするための選択方法を解析した。その結果をもとに、鍵長を最も削減する方法を調査し、提案を行った。同時に処理効率についても解析し、復号化の処理を高速にするアルゴリズムを提案した。計算機を用いた攻撃実験も行うことができ、現在最も安全性に影響を与える攻撃法であるグレブナー基底を用いた直接攻撃を解析することができた。理論と実験の両面から安全性を解析した。電子情報通信学会(IEICE)のジャーナルに投稿し、採録され、また査読付き国際会議AsiaPKC2013,PQCrypto2013,AsiaARES2014に採録された。国内研究会でも3件の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに提案した非可換環の多変数多項式公開鍵暗号を解析し、非可換環を用いない方式まで一般化することができた。理論的研究に加えて数式処理ソフトMagmaを用いた数値実験を行い、結果の信ぴょう性を高めることができた。結果は査読付きジャーナル1件、査読付き国際会議3件に採録された。これはH25年度の計画を上回るものである。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度の研究により、非可換環構造と多変数多項式公開鍵暗号の安全性の関係を解析できた。H26年度はポスト量子暗号の観点でこれを応用する。具体的にはポスト量子暗号の候補である多変数多項式公開鍵暗号と格子ベース暗号における非可換方式の安全性や効率性、鍵長などの解析、比較である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた謝金・人件費を必要としなかったため。 直接経費として今年度110万円が割り当てられ、次年度使用額の約45万円と合わせると約155万円を使用することになる。研究成果発表や研究集会参加費用として旅費70万円を見込んでいる。論文の英語構成費用そのほかに30万円、また研究補助や謝金・人件費として55万円を見込んでいる。
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