研究課題/領域番号 |
24740079
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福泉 麗佳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00374182)
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キーワード | ボース・アインシュタイン凝縮 / 確率解析 / 偏微分方程式論 / 数値解析 / 国際研究者交流(フランス・イタリア) |
研究概要 |
ボース・アインシュタイン凝縮のモデルとして導出されるグロス・ピタエフスキー方程式において、安定な渦解に対するノイズの影響を変調パラメータ解析により計算した。その成果として、安定な渦解と同じ対称性を持つ摂動を与えると、ノイズの大きさに対し、どのくらいの時間にわたってその渦解の形が保たれるかということを理論的に証明できた。ここで、変調パラメータもノイズに依存しランダムな量となるが、変調パラメータの満たす確率微分方程式を導出し、ノイズがどのように解の位相に影響を与えるかも調べた。これらの証明の中に幾つかの新しい研究成果が含まれる。例えば、新しい解表現の公式の確立、それによりブラウン運動に対する解の強い意味での連続性や、解の球面調和可分解性の保存など多くの情報が得られ、解の存在や解がどのくらい滑らかさを持つかを議論することが(ランダムな場合でも)簡易化された。さらには、考え得る非線形項の種類が広がった。 与える摂動が渦解と同じ対称性を持たない場合は、現在理論的に証明することが困難であるため、Radoin Belaouar氏と Anne de Bouard氏 (Ecole Polytechnique・フランス)と数値解析による観察を行っている。 Andrea Sacchetti氏(Modena大学・イタリア)と行った、周期ポテンシャルを伴う定常グロス・ピタエフスキー方程式の、離散シュレディンガー方程式による半古典的近似の結果を論文にまとめ、投稿済み、現在査読審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上に述べた成果に関しては数値計算で観察中であるが、平成26年度中には論文発表ができることに疑いがないため。 また、グロス・ピタエフスキー方程式に基底状態解を介した変換を施した後の複素ギンツブルグ・ランダウ方程式の渦解の解析も試みた。このタイプの方程式に関しては多くの国内外の研究者が競って研究しているが、既存のJerrard, Brezis, Bethuel, Smetsらの結果を確率的な摂動を付けた場合にどのように応用するかの方針を具体的に立てることができた。細かく数学的な正当化を行う部分がかなり残っているが、プロジェクト期間中に完成させることは不可能ではないように思われる。
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今後の研究の推進方策 |
上記の研究成果に関する論文を発表する。グロス・ピタエフスキー方程式の渦の数値計算を行っている Xavier Antoine氏 (Lorraine大学・フランス)を招聘し、得られた各々の数値スキームについて議論する。複素ギンツブルグ・ランダウ方程式において変分的手法と確率解析を組み合わせ、ノイズの影響を含んだ渦点のダイナミクスについて大偏差原理を利用する。渦の解析の共同研究者である Anne de Bouard氏(EcolePolytechnique・フランス)と Eric Gautier氏(ENSAE・フランス)を7月に訪問する予定である。Double well や 周期的なポテンシャルを伴う非線形 Schrodinger 方程式においては、これまでの研究により、強い非線形効果によって波動関数のトンネル効果が抑制され、ある1つのポテンシャルの中に局在化されることがわかっている。そこで、弱い非線形性を持つ場合はどうなるか、例えばノイズを加えることで局在化が推進されるかどうか考察予定である。この項目については、Andrea Sacchetti 氏(Modena大学・イタリア)と議論をするため同氏を5月に招聘する。 定期的に東北大学で「青葉山勉強会」を開催し, 研究計画内容に関連する知識を持つ国内研究者に講演してもらう。オイラーやナビエ・ストークス方程式での渦解のダイナミクスを他の確率的手法で研究している Massimiliano Gubinelli氏 (パリ Dauphine大学・フランス)を秋に招聘し議論の機会を持つ予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、妊娠・出産のため活動・出張することが困難であったため。 渦の数値計算を行っている Xavier Antoine氏 (Lorraine大学・フランス)を招聘し, 得られた各々の数値スキームについて議論する。 共同研究者であるAnne de Bouard氏(EcolePolytechnique・フランス)と Eric Gautier氏(ENSAE・フランス)を7月に訪問する。 ノイズを加えることで局在化が推進されるかどうかについては、Andrea Sacchetti氏(Modena大学・イタリア)と議論をするため同氏を5月に招聘する。定期的に東北大学で「青葉山勉強会」を開催し, 研究計画内容に関連する知識を持つ国内研究者に講演してもらう. オイラーやナビエ・ストークス方程式での渦解のダイナミクスを研究しているMassimiliano Gubinelli氏(パリ Dauphine大学・フランス)を秋に招聘予定。
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