研究課題/領域番号 |
24740081
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
前田 昌也 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40615001)
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キーワード | 国際情報交換 / イタリア / 非線形シュレディンガー方程式 / ソリトン / 準周期解 |
研究概要 |
本年度はポテンシャル付き非線形シュレディンガー方程式のソリトンと小さな周期解の弱い相互作用並びに準周期解の非存在について研究を行った。 非線形シュレディンガー方程式は1次元3次べきのとき可積分系となり、その場合のソリトン間の衝突現象は逆散乱法などにより詳しく調べられている。しかし、それ以外のときは非線形シュレディンガー方程式は可積分ではないと考えられ、逆散乱法などの可積分であった場合に使うことのできた強力な手法は適用することが難しい。本年度の研究ではポテンシャルの付いた非線形シュレディンガー方程式を考え、ポテンシャルのない場合に発生するソリトン解とシュレディンガー作用素の固有値より分岐する小さな定常解が弱い相互作用をもつとき(互いに非常に離れているか、ソリトン解が非常にはやく動いている場合)に解は漸近安定であることを示した。 また、ポテンシャル付き非線形シュレディンガー方程式の小さな解について、そのシュレディンガー作用素が複数個の固有値をもつときの時間大域挙動を調べ、解がどれか一つの固有値から分岐する周期解に散乱成分を除いて収束することを示した。小さな解はスケーリングにより、非線形項が小さな非線形シュレディンガー方程式の解とも思うことができる。その極限としての線形シュレディンガー方程式は各固有値に対応した周期解をもち、ゆえに固有値が2つ以上あるとき、準周期解をもつ。しかし、本年度の研究によってこのような準周期解は任意に小さな非線形摂動によって崩されてしまうことが示された。 本年度の二つの結果はいずれも離散スペクトルと連続スペクトル間の非線形相互作用を詳細に調べることによって得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソリトンの漸近安定性解析は順調に進んでいる。とくに連続スペクトルと離散スペクトルの非線形相互作用についての理解は深まり、より一般の非線形分散型方程式の漸近安定性解析に用いることのできる状況にある。また、漸近安定性だけでなく爆発現象においてもこの手法の応用が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ソリトンの漸近安定性の研究を行う。また、爆発解の研究においてソリトンの漸近安定性の研究により得られた離散スペクトルと連続スペクトルの非線形相互作用の解析手法が適用できないかを探っていく。そのためにイタリアなど海外の研究者と緊密に連絡を取り合うとともに国内の研究者にこれまで得られた研究の成果を発表することにより、関連する分野における応用を探求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初に計画していたイタリアでの研究打合せを次年度に延期することによって生じたものである。 次年度使用額はイタリア・トリエステ大学においてCuccagna氏との研究打ち合わせ・情報交換をすることに必要な経費として平成26年度請求額と合わせて使用する予定である。
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